フルゲート18頭で混戦の様相
大活躍をつづける牝馬2頭か、それともまだ強くなる4歳サートゥルナーリアか、あるいは未知の魅力あふれるグローリーヴェイズか。買いたい馬が多すぎる。
宝塚記念が18頭立てで行われるのは、アドマイヤムーンが勝った2007年につづいて史上2回目になる(当初18頭の2010年は取り消しがあり17頭)。過去、阪神2200mで17頭以上の多頭数は計5回、勝ち馬は「3、6、3、8、8」番人気だった。
さんざん迷い、ベテラン6歳キセキ(父ルーラーシップ)の逆転に期待する。みんなが失速した不良馬場の2017年の菊花賞(この馬以外は上がり40秒台以上)を、底力で抜け出したあと、現在14連敗中。最近は父と同じようにスタート難が生じ、最後の粘り腰に欠ける。前走の天皇賞(春)3200mでは途中からハナに立ったものの、そこから息を入れたい中間の1000mをかかり気味に「60秒4」で飛ばしてしまい、残り1ハロンで失速した。
もうかつてのキセキではないように映るが、菊花賞以降、昨年の大阪杯2着、宝塚記念2着など2200m以下に限れば【0-2-2-1】。昨年の宝塚記念2着はリスグラシュー(有馬記念を5馬身差独走)に3馬身差の完敗だが、押してハナを切り残り200mまでは先頭。
自身の中身は前後半「60秒0-(11秒9)-59秒4」=2分11秒3。最近10年の平均勝ち時計(2分12秒21)以上で粘っている。
父ルーラーシップ(2012年の2着馬)の勝ち星8勝は、日経新春杯2400m以外は2200m以下だった。この父子はイメージと異なり長距離型ではない。そこで、長丁場では甘くなるケースが多い。ルーラーシップ産駒は、(あくまで総じてだが)代表産駒のダンビュライト、メールドグラース、ムイトオブリガード、リオンリオン、サンリヴァル…など、2500m級までならこなせるが、それ以上になると良くない。
キセキの母の半姉ダイワエルシエーロは、2004の年オークスを途中から巧みなペースで先頭に立って制したが、3歳馬同士のレースはスタミナを問われないことが多く、祖母ロンドンブリッジは1998年の桜花賞2着馬。総じて一族にステイヤー色はない。
直前の追い切りは珍しく坂路で、自己ベストの51秒1で動いてみせた。難しい馬だが、武豊騎手は宝塚記念【4-3-4-15】。今度はコンビ2戦目になる。
昨年の宝塚記念は最内枠で、押して追ってようやくハナに立ったほどだから、外枠は歓迎。ムリせずに途中からでもハナに行く形が取れる。さらに、速めの一定ペースを好むので主導権をにぎることが多いが、もともとキセキは逃げ馬ではなく、逃げて勝ったことは一度もない。現在のデキで、ベストに近い2200mを自身のリズムで走れるなら、簡単には止まらないと考えたい。
有馬記念と同じで、嫌いたい馬もいないが、ノーチャンスという馬もめったにいない。
人気薄で相手に買いたいのは、グローリーヴェイズ、スティッフェリオ、カデナ。