【CBC賞・ラジオNIKKEI賞】成長力と不屈の闘志で今度こそ
鶴藤から続く伝統の牝系
また今週も雨に大きく影響され、先週の宝塚記念よりもっとタフなコンディションになる危険もある。
CBC賞が阪神で行われたのは、過去に一回だけ。2011年にダッシャーゴーゴー(父サクラバクシンオー)が勝った年がそうだった。ダッシャーゴーゴーは2番人気の高松宮記念(この年は阪神)を、道中の斜行で4位入線ながら、11着に降着になっている。だが、CBC賞は1番人気に支持され、力強く伸びて反撃している。
人気馬の単なる偶然で、今年のクリノガウディー(父スクリーンヒーロー)とは関係ないが、斜行の降着は不名誉でも前走のGI高松宮記念は中身があった。初めての1200m挑戦、初めての重馬場だった。
ゴール前は4頭が横一線、同タイム3位入線のグランアレグリアは、次走で安田記念を快勝し、同じく1分08秒7の同タイム4位入線のダイアトニックは、函館スプリントSを楽勝している。1位入線4着降着のクリノガウディーは【1-2-1-9】。1勝馬にハンデ58キロはきついが、高松宮記念はいただけない4着でも、初の1200mをこなしたレース内容そのものは評価されたハンデといえる。
父スクリーンヒーローが2008年のジャパンCを制したのは4歳秋のこと。代表産駒モーリス(2歳秋にはムーア騎手でさえかかって凡走)が無敵の7連勝を開始したのも、ゴールドアクターが急速に強くなって2016年の有馬記念を勝ったのも4歳時だった。
クリノガウディーの勝ちみの遅さ、勝ち運の乏しさは、父系の特徴そのものといえる。母方は、朝日杯FS2着で脚光を浴びたとき、そのファミリーは7代母の鶴藤(競走名ワルド、1938年第一回オークス3着馬)が、11戦不敗の伝説の女傑クリフジの全姉だと知られることになった伝統の牝系。それもあって、クリフジ一族の直系子孫クリノビリオネアの産駒はすべて栗本オーナーが所有していると伝えられる。
成長力のある父系と、牝系が伝える不屈の闘志と、57キロでの初の重馬場をこなして1位入線の底力を評価したい。
内枠の芝は気になるがレッドアンシェル、外のディメンシオン本線。置かれるのは死角でもタイセイアベニールは渋馬場OKだろう。穴馬の筆頭は、重巧者、阪神巧者で、連闘策をとってきたグランドロワの逃げ。
福島の芝も、急な回復の可能性は低い。ラジオNIKKEI賞は2006年以降ハンデ戦となったが、今年は56キロのキメラヴェリテが回避したため、なんとトップハンデが54キロという特殊なハンデ戦になった。ノーチャンスの馬も、示された能力上位馬もいないレースともいえる。前走、良馬場で快時計のグレイトオーサーと、サクラトゥジュールは同じ堀厩舎所属。同じように首の高い走法で、ともに気性は若い。主戦格のD.レーン騎手は前者に乗ってきたので、当然グレイトオーサーは有力馬だが、案外、サクラトゥジュールの方が渋馬場をこなす気がする。
穴馬は重馬場OKのコンドゥクシオン。団野騎手のバビットは、父は重の凱旋門賞2着ナカヤマフェスタ。母の父タイキシャトルは渋馬場のジャックルマロワ賞勝ち馬。そのうえ、パワーあふれる名馬を送る大変な名門ファミリーに属している。