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【セレクトセール2020】初日の1歳セッションで18頭が億超え

  • 2020年07月16日(木) 18時00分

コロナ禍の影響を感じさせない大盛況


 7月13日と14日の2日間にわたり開催されたセレクトセール。結果はすでに各報道で伝えられている通り、コロナ禍の影響もなく終わってみれば史上二番目の売り上げとなる187億6200万円(税抜き)を記録し、改めて存在感の高さを内外に示したと言えるだろう。

 今年は新型コロナウイルス感染に対処するため、主催者である日本競走馬協会は当初よりいわゆる3密を防ぐことに尽力していた。そのため、まず販売者は、上場馬1頭につき2人まで、そして、取材者も各社1人ずつに限定され、大幅に参加人数を絞る方針が示された。

 取材に関しては、まずセリ会場内、及びパレードリンク、そして落札後の立ち写真撮影エリアが撮影禁止となり、公式カメラマンの撮った画像データをダウンロードして使用するよう通達された。毎年、セレクトセールは購買関係者も数多いが、報道陣もまた大変な数に上る。とりわけ1億円超えの高額落札馬や話題の馬の上場後には、立ち写真撮影エリアは膨大な数のカメラマンがひしめき合う。その過密状態を回避するために取られた措置であった。

 そうなると、私たちは居場所を確保するのが難しくなる。あれこれ考えた結果、今年は、パレードリンクに各馬が進入する前の、プレリンク(とでも呼べば良いのだろうか、パレードリンクの手前にウォーミングアップ用の周回コースが設置されている)に陣取って、カメラを構えることにした。そこにいればモニター画面を通じて、セリの進行が音声付きで分かることと、上場馬が最初にそこに登場し周回するので、常歩場面限定ながら各馬を撮ることもできるのだ。パレードリンクと比較すると人が少なく、3密を防ぐこともできる。それで2日間の大半をそこで過ごした。

 トイレその他で一時的に中座せざるを得ない場面もあったが、おおよそ90%の上場馬はそこで撮影することができたと思う。幸いにも今年は2日間ともひじょうに快適な天候に恵まれ、暑くもなく寒くもない絶好のコンディションでセリが行なわれた。

 初日の1歳セッションで、話題の中心となったのは、やはりディープインパクト産駒たちであった。昨年7月30日にこの世を去ったディープインパクトの産駒は、今回1歳馬のみ13頭(牡10頭、牝3頭)の上場で、うち12頭が落札され、9頭が億を超える落札価格となり、ひと際注目を集めた。

 圧巻だったのは114番シーヴの2019(牡・青鹿毛)が上場された時である。半姉にケンタッキーオークス馬キャスリンソフィアのいる同馬は、1億円からセリが始まるとあっという間に3億円を超え、1歳馬としては史上最高価格の5億1000万円で国本哲秀氏に落札された。

生産地便り

シーヴの2019


 他にも56番フォエヴァーダーリングの2019(牡・鹿毛)が(株)ダノックスに4億円で、36番テディーズプロミスの2019(牝・青鹿毛)が2億4000万円で(株)キーファーズにそれぞれ落札された。また67番アブソリュートレディの2019(牡・鹿毛)は2億2000万円で金子真人HDが、108番カンビーナの2019(牡・鹿毛)は2億円で島川隆哉氏が落札し、常連の高額バイヤーによって、激しい争奪戦が展開した。

生産地便り

フォエヴァーダーリングの2019


生産地便り

アブソリュートレディの2019


生産地便り

カンビーナの2019


 これらディープインパクト産駒を含め、初日の1歳セッションで億超えとなったのは併せて18頭であった。終わってみれば、249頭中229頭が落札されて、売却率は92.0%。史上最高額に達した昨年の107億3200万円にはわずか及ばなかったものの、104億2800万円を売り上げ、コロナ禍による影響など全く感じさせない大商いとなった。

 初日の最後の上場馬が姿を現したのは午後7時過ぎのこと。午前10時より始まってから実に9時間後のことであった。次回は翌日の当歳セッションについて触れたい。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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