内から突き抜けたアールスター(提供:デイリースポーツ)
10番人気ながら小倉記念を快勝したアールスター。鞍上の長岡禎仁騎手とともに、人馬揃っての重賞初制覇となりました。「自信を持って臨めた」とコメントした長岡騎手。レースでコンビを組むのは初めてでしたが、普段の調教から二人三脚で取り組んできたといいます。今回はそんな同コンビの嬉しい勝利の瞬間を振り返ります。
(構成=赤見千尋)
1コーナーの入りを見て「上手いな。これは来るな」
小倉記念は10番人気だったアールスターが内を捌いて重賞初制覇。騎乗した長岡(禎仁)君にとっても、デビュー9年目の嬉しい重賞初制覇でした。
レースを見ていて、おそらくたくさんの方々が「内を上手く捌いた」ことがファインプレーだと感じたのではないでしょうか。もちろんそこも大切な場面ですが、そのファインプレーに繋がったのはもっと前、ゲートから1コーナーの入り方だったと思います。
まずゲートに関して言えば、アールスターはここ2走で枠入り不良でゲート再審査となるなど気性面の難しさを見せていました。これは勝ったあとのコメントで見たのですが、そこから追い切りだけではなく、普段の常歩の段階から長岡君が調教していたと。そこでこの馬のことをしっかり把握し、長岡君にしかわからない感覚を掴んだのではないでしょうか。
ゲートの出方というのはタイミングなど多少なりとも運という側面はありますが、今回好スタートを決められたのは運じゃないと思っていて。本当に上手く出せているなと感じました。僕が「こういう出し方をしたいな」と思っている出し方で、馬にとって走りやすく、スピードに乗りやすい、騎手にとってもコントロールしやすい体勢で、そうすると道中にも余裕が生まれます。
スタートしてから1コーナーまでの入りも素晴らしかったですね。小倉の芝2000mは(ダート1700mもそうですが)、ある程度内枠に入った場合、スタートを切ってから最初のコーナーに入るまでのところで、1度外を伺いながら、内ラチ沿いをちょっと空けながらコーナーに入って行くのがいい回り方だと僕は思っていて。
なぜかというと、