傾向そのものを形の通り尊重するか…
オールカマーの傾向と登録馬を見比べていて、ひとつ気付いたことがある。
傾向のほうからご説明しよう。過去10年、オールカマーでは前走で上がり最速か、上がり2位を出していた馬は1頭も勝っていないのである。2014年の新潟施行時も含めてしまうが、過去10年の結果はこうなっている。
前走上がり最速から馬券に絡んだのは2017年のタンタアレグリア(3着)だけ。上がり1〜2位を合わせるとオールカマーでの1番人気馬と2番人気馬が3頭ずつ、3番人気馬が4頭いるのだが、その中から優勝馬が出ていない。
さらに調べると、前走上がり最速馬がオールカマーを勝ったのは1999年のホッカイルソーが最後、上がり2位を含めても2003年のエアエミネムが最後だった。年によっては該当馬がいないこともある(最近だと2018年や2015年は前走上がり1、2位馬が不在)。
さて、以上を踏まえて今年の出走予定馬だが……そう、フィエールマンは天皇賞春の上がり最速馬。数字そのものとして速い上がりを使うタイプではないが、1位は1位。さらに、キレないタイプの典型のようなカレンブーケドールは京都記念の上がり2位。本当はドバイシーマクラシックに出ていたはずとか、京都記念は重馬場だったとかの事情はあるが、2位は2位である。
その一方で、33秒台の脚を使うこともあるミッキースワローは天皇賞春の上がり4位タイ。数字として速い上がりを出せる馬が「1、2位の呪縛」にとらわれず、スタミナや持続力で勝負する馬が1、2位に該当してしまっている。
傾向そのものを形の通り尊重するか、傾向をもう一段階解釈して馬のタイプにあてはめるか、これは難しいところだが、前者で行く場合、フィエールマンもカレンブーケドールも勝たない前提の馬券を組むことになる。個人的にはちょっとまだそこまで思い切れずにいるが、趣旨というか傾向そのものは念頭に置いて予想したいのは事実だ。