強さも可愛さも兼ね備えたカレンチャン(ユーザー提供:おうまちゃんしゅきしゅきさん)
好評の芦毛特集。今回は2011年スプリンターズS、2012年高松宮記念とGI2勝を挙げた牝馬・カレンチャンです。可愛らしい名前の通り、「お人形さんみたいで可愛い馬でした」と話すのはデビューから引退まで寄り添ってきた担当の安田隆行厩舎・岩本龍治調教助手。手を出すとペロペロ舐めてきたという可愛いエピソードや、ロードカナロアとの仔・カレンモエが見せる可愛い表情に「いま死んでも天国」発言、さらにはカレンチャンにまつわる涙の人間ドラマまで…。癒しあり、涙ありのカレンチャンとの思い出を語っていただきました。
(取材・構成:大恵陽子)
※お忙しい中、電話取材にご協力いただき、この場を借りて改めてお礼申し上げます。
引退後、牧場でボスに君臨!?
――デビューからずっとカレンチャンを担当されていた岩本助手ですが、第一印象はどんな感じでしたか?
岩本龍治調教助手(以下、岩本助手) 可愛い子でした。初めの頃は子供っぽさを多少残していて、周りの音にすごく敏感で、見境のない暴れ方をしていたんですけど、競馬を使うごとに落ち着きがでてきて、最後は周りに動じませんでした。あの子のメンタルはホントすごかったですね。
――牝馬は繊細な性格のイメージがありますが、その落ち着きはすごいですね。
岩本助手 一番すごいなって思ったのが、香港に行くときに飛行機のエンジントラブルがあったんですよね。それで、貨物の中で25〜6時間、まるまる1日ちょっとコンテナの中に閉じ込められていたんですど、全然暴れることなくじーっと我慢していたんですよ。やっぱりこの子はメンタルが強いんだなってそこで再確認しました。
――ということは、立ったままですよね? 事情を理解できる人間でも、それは疲れてしまいそうです。
岩本助手 僕らも一緒にいたんですけど、真冬で海からの吹き曝しがあってすごく寒くてキツかったです。そんな中、輸送して香港スプリントで5着。やっぱり走るなって思いました。
驚くほどの強いメンタルの持ち主(※写真は2012年)(撮影:高橋正和)
――初めてGIを勝った時は5連勝での制覇でした。連勝したり、GIを勝つことで雰囲気が変わったり「ボス感」が出てきたりしましたか?
岩本助手 自分に自信もついていると思うんですけど、引退してからがすごかったらしいです。
――え、引退してからですか?
岩本助手 社台ファームでは