グランアレグリアが直線で14頭をごぼう抜き!(提供:デイリースポーツ)
中山競馬場で行われたスプリンターズステークスは、1番人気グランアレグリアが勝利。後方でレースを進め、直線に入ると桁違いの末脚を発揮。驚くほどの強さでGI3勝目を挙げました。グランアレグリア自身のさらなる成長と、牧場、厩舎の仕上げ、そしてルメール騎手の騎乗、すべてがファインプレーだったと哲三氏。秋のGI戦線の開幕戦をじっくり振り返ります。
(構成=赤見千尋)
“プラス12kg”余裕があるからこそのあの走り
スプリンターズステークスはグランアレグリアが後方から直線一気に差し切り勝ち。4ヵ月ぶりの休み明けでプラス12キロでしたが、1番人気に応え強い競馬を見せてくれましたね。騎乗したクリストフ(・ルメール騎手)のファインプレーも素晴らしかったですが、まず今回一番最初に目に付いたファインプレーは、牧場を含めた藤沢和雄厩舎陣営の仕上げです。
調教から注目して見ていたのですが、調教はいつも折り合いを気にしながらの馬なりということが多く、ゴーサインを出したらすぐに反応する、というイメージでした。でも今回は、追うまでの動作の中の反応が、若干鈍いのかなと感じたんです。よくよく見ると遅いのではなく、動きが大きくなっているというか。肩の周りの動きがこれまで以上に幅広く使えるようになり、ストライドも大きくなっているイメージです。
プラス12キロという数字を最初に見た時、「大丈夫なのだろうか?」と感じた方もいたのではないでしょうか。僕は当日ラジオ出演していたのですが、その時のパドック解説は「心配ない」ではなく、「すごいです!」とお伝えしました。
数字的にも見た目的にも、余裕があるのではないかという声は僕にも聞こえてきました。でもこの余裕があるからこそのあの走りというか、レースに行って走りに繋がる余裕というものもあるんです。よく休み明けで太目だと走りに繋がらないと思いがちですが、その中にも繋がるゆるさ、重さというのがある。
実際にゆるい馬はとても多いですし、そのゆるさをどう生かすか、上手く使えるかで同じ馬に乗っても他の騎手よりいい成績を出せると考えていましたから、現役時代からそういう部分をしっかり見てきました。余裕やゆるさと表現するとマイナスに感じるかもしれませんが、重厚感やゆとりと表現したら、いい印象になりますよね。
例えるなら、