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ジャスパープリンス出走のBCスプリント展望

  • 2020年11月04日(水) 12時00分

今年のBCスプリントはなかなかの混戦模様


 馬産地のど真ん中にあるケンタッキー州キーンランド競馬場を舞台とした、北米競馬の祭典ブリーダーズCの開催が、11月6日(金曜日)、7日(土曜日)に迫っている。

 コロナウイルス感染拡大が止まらず、各国の間で渡航制限が敷かれている中ではあるが、欧州から総勢26頭が参戦。そして日本から、森秀行厩舎のジャスパープリンス(牡5、父ヴァイオレンス)とピンシャン(牡3、父スパイツタウン)が渡米した。

 現地2日(月曜日)に最終登録が行われ、同日夕方に枠順抽選が行われた結果、ジャスパープリンスは無事に第一希望のBCスプリントへの出走が叶い、馬番13番、枠番13番が確定した。一方のピンシャンは残念ながら、第一希望のダートマイル、第2希望のスプリントのいずれも除外となり、現段階ではダートマイルの補欠の一番手という扱いだ。このまま出走枠に入れなければ、キーンランドで同日に行われる3歳限定の特別ペリーヴィルS(d6F)に廻ることになる模様だ。

 ジャスパープリンスが出走することになったG1・BCスプリント(d6F)は、なかなかの混戦模様である。

 1番人気が予想されるのは、スティーヴ・アスムッセンが管理する3歳馬ヨーポン(牡3、父アンクルモー)だ。デビューしたのが今年6月20日で、チャーチルダウンズのメイドン(d6F)を制し緒戦勝ち。続くサラトガの一般戦(d6F)も連勝すると、次走は同じくサラトガで行われたG2アムステルダムS(d6F)に挑み、ここも勝って3連勝で重賞初制覇。さらに、10月1日にピムリコで行われたG3チックラングS(d6F)も4馬身差で楽勝して、無敗の4連勝でここへ挑んでくる。

 同じ3歳勢にはもう1頭、ナッシュヴィル(牡3、父スパイツタウン)という無敗馬もいたのだが、同馬は回避することになった。

 古馬勢の代表格が、2つのG1を含む4つの重賞を制しているヴェコマ(牡4、父キャンディライド)だ。デビュー2戦目でG3ナシュアS(d8F)を制し、世代のトップ戦線に加わると、3歳春にはG2ブルーグラスS(d9F)に優勝し、ケンタッキーダービーにも駒を進めた。その後、蹄を傷めて10か月にわたって戦線を離脱。今年3月に復帰後は、ガルフストリーパークの特別サーシャックルトンS(d7F)、ベルモントパークのG1カーターH(d7F)、同じくベルモントパークのG1メトロポリタンH(d8F)を全て白星で通過している。6Fの距離を走るのは2歳9月のデビュー戦以来となるが、管理するG・ウィーヴァー師は「全く問題ない」と自信をのぞかせている。

 デルマーのG2パットオブライエンS(d7F)、サンタアニタのG2サンタアニタスプリントCS(d6F)を含めて、直前5連勝中と勢いに乗っての参戦となるのが、ピーター・ミラーが管理するシージーロケット(セン6、父シティジップ)だ。

 あるいは、10月2日に本番と同競馬場・同距離で行われたG2フェニックスS(d6F)を制し、4度目の重賞制覇を果たしての参戦となるダイヤモンドウップス(セン5、父ルッキンアットラッキー)あたりも、争覇圏に入ってくる馬だろう。

 ジャスパープリンスは、美浦で出国検疫を受けた後、10月23日に成田空港から出発。アンカレッジとダラスを経由して24日にシカゴに到着し、アーリントンパーク競馬場で入国検疫を受けた後、26日にキーンランドに入った。ここが重賞初挑戦という実績はいかにも見劣りするが、休み明けだった前々走のLRエニフS(d1400m)を楽勝しているように、スピードは良いものを持っている。健闘を期待したい。

 ブリーダーズCの模様は、グリーンチャンネルで8日(日曜日)深夜12時から、ダイジェストで放映されるので、ぜひご覧いただきたい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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