【エリザベス女王杯】牝馬の勢いに錦織りなす山のスケールを感じる
無敗で三冠を許した今年の3歳馬のレベルを見極めたい
牝馬の時代、その先頭を走ってきたアーモンドアイが国内外GI競走8勝の記録を作り、ひとつ年下の4歳クロノジェネシスが秋華賞についで今年、宝塚記念で牡馬を一蹴、これを大阪杯で倒したラッキーライラックはこれがGI3勝目で、このエリザベス女王杯で史上4頭目の連覇をめざしている。
さらにこの2世代を追って5戦全勝で初の無敗の3冠牝馬となったデアリングタクトがジャパンカップで初めて牡馬と対戦すると伝えられ、牝馬の勢いはとどまるところがない。
例年世代対決に関心が高まるエリザベス女王杯だが、こうした流れを受け興味がわくのが、無敗で三冠を許した今年の3歳馬のレベルがどうなのかという点だ。オークスの2、3、4着馬が揃って出走してくるので、このウインマリリン、ウインマイティー、リアアメリアの戦い方次第で、今後の牝馬勢の見方がはっきりしてくる。デアリングタクトの1頭独裁なのか、そうではないのか。この点はしっかり見極めておきたい。
3歳馬の優勝は、エリザベス女王杯が3歳以上となった1996年以降8頭出ているが、この中には連覇を達成した英国のスノーフェアリーが含まれている。これが2010年、11年だから、それ以後の8年では、メイショウマンボ、モズカッチャンの2頭だけ。
メイショウマンボは、オークス、秋華賞の2冠馬で、モズカッチャンは、オークス2着で秋華賞3着馬。どちらも京都芝2200米(外回り)でゆったり走れて勝機をつかんでいた。今度は同じ距離であっても阪神の芝2200米(内回り)だから、道中の出入りは激しく、ジワジワと脚を使わされる可能性がある。
それと先週のレースを見ていると、スピードも求められるので、ウインマリリンのためを利かせたレースと、良馬場で持ち味が生かせるディープインパクト産駒リアアメリアの一発を考えておきたい。
世代別で一番優位に立つ4歳馬の中では、昨年3着のラヴズオンリーユーが、やはりディープインパクト産駒で、馬場が良ければチャンスがある。
オークスを勝ったときのタイムから魅力があり、有力馬の一角を占めている。昨年を除き6年間はずっと連覇を狙った有力馬が連対すら果たせずにきていて、ラッキーライラックには苦しいデータだが、今年は阪神だし、大阪杯2000米を好タイムで牡馬勢を倒しており、好調ルメール騎手なら当然無視できない。そして、中距離なら楽にポジションが取れる、持久力のあるハービンジャー産駒ノームコアも加えておく。
どの世代がどんな戦い方をするか。雄大に染めあげる、錦織りなす山の秋を見るようなスケールを感じさせる大一番を期待したい。