ダートの名門ファミリーの血を遺憾なく発揮したレースぶり
先週の血統ピックアップ
・12/6 チャンピオンズC(GI・中京・ダ1800m)
中団馬群を追走したチュウワウィザードが残り100mでインティを交わして先頭に立ち、外から追いすがるゴールドドリームを抑えて優勝しました。一本かぶりの人気に推されたクリソベリルが動かなかったとはいえ、これを外から楽々と交わしたレースぶりは文句のつけようがありません。
GI(JpnI)は、昨年のJBCクラシック、今年の川崎記念に次いで3勝目となります。2代母オータムブリーズのファミリーはこのところ活性化しており、一昨年のこのレースの覇者ルヴァンスレーヴは従兄弟、クイーン賞(JpnIII)を勝ったアイアンテーラーは叔母にあたります。チュウワウィザードとルヴァンスレーヴは、奇しくも後続に2馬身半差をつけて優勝したという共通点があり、この着差はレース史上最大です。
また、ティンバーカントリー、リアルシャダイ、サンデーサイレンス、ヌレイエフを近い世代に持つ配合構成はコパノリッキー(2017年の3着馬)とよく似ています。父キングカメハメハは、芝だけでなくダートでも大成功し、ホッコータルマエやベルシャザールをはじめ多くのダートGI馬を出した名種牡馬。チュウワウィザードはこの血統背景と競走成績ですから、いずれ種牡馬入りするのは確実でしょう。
・12/5 チャレンジC(GIII・阪神・芝2000m)
2番手を追走したレイパパレが4コーナーで先頭に立ち、外から伸びたブラヴァスを抑え、無傷の5連勝で初の重賞タイトルを獲得しました。秋華賞を除外されて臨んだ前走の大原Sは、ほぼ馬なりのまま逃げ切りを収め、その勝ちっぷりが高く評価されてここは初の重賞挑戦にもかかわらず単勝1.6倍の一本かぶりでした。
ホープフルSとCBC賞を勝ったシャイニングレイの全妹で、母シェルズレイはローズS2着、チューリップ賞2着などの成績があります。母の全弟ブラックシェルはNHKマイルC2着、日本ダービー3着。ディープインパクトを父に持つ3歳牝馬が牡牝混合の芝中距離重賞(1800〜2400m)を勝ったのは、ジェンティルドンナ(12年ジャパンC)、ハープスター(14年札幌記念)に次いで3頭目です。この2頭はそれぞれ460kg、476kgと牡馬に負けない体格でしたが、レイパパレは424kgしかありません。華奢な身体で、なおかつ気性的にも未完成。それでいてこの戦績ですから来年が楽しみです。
今週の血統注目馬は?
・12/13 飛騨S(3勝クラス・中京・芝1400m)
登録馬の父のなかで中京芝1400mに強い種牡馬はオルフェーヴル。出走回数は18回と少ないものの[10-1-1-6]という成績。勝率55.6%、連対率61.1%、複勝率66.7%は驚異的です。このレースに登録のあるオルフェーヴル産駒はアプルーヴァルのみ。当コースでは[3-1-1-0]と一度も馬券圏内を外していません。「オルフェーヴル×シンボリクリスエス」という組み合わせにバレークイーン牝系、という血統構成はエスポワール(ターコイズS2着、中山牝馬S3着)と同じ。得意コースに替わる今回はおもしろいでしょう。
今週の血統Tips
阪神ジュベナイルフィリーズは過去10年間にディープインパクト産駒が3勝、ダイワメジャー産駒が2勝しています。一方、母の父の種牡馬を見ると、勝ち馬10頭中9頭が海外で繋養されている種牡馬です。要するに在来牝系から出た仔よりも、輸入したての繁殖牝馬の仔が活躍するという顕著な傾向が見られます。
今年の登録馬20頭のなかで、母の父が海外繋養種牡馬であるものは、アオイゴールド、ウインアグライア、サトノレイナス、サルビア、シゲルピンクルビー、ポールネイロン、ヨカヨカの7頭。このうち、サトノレイナスはディープインパクト産駒、サルビアはダイワメジャー産駒です。