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【朝日杯FS】冬に実を結ぶ素質ある若駒たち

  • 2020年12月19日(土) 12時00分

父譲りの野性味溢れる走りが魅力のドゥラモンド


 ここ3年、朝日杯FSは6月デビューの無敗馬が勝ってきた。ダノンプレミアム、アドマイヤマーズ、サリオスだが、いずれもその後のターフで存在を示してきた。つまり、早い時期に素養を抜露できたものにチャンスがめぐっている例になるが、正月の縁起物にされる千両や万両の赤い実を連想してみた。この常縁の低木は6月から7月ごろ黄緑色の花を咲かせ、葉の傍らに5ミリほどの球形の実をつける。それが冬に赤く熟すのだが、ここで名を成す若駒たちは千両や万両の赤い実に例えたくなる。

 朝日杯FSは2014年から阪神に移り、レースの傾向が大きく変わった。阪神外回りのマイル戦になり、マイル以上の経験があるか、その可能性のある馬が有利で、能力のあるものが能力を発揮できるコースと言っていい。この6年でディープインパクト産駒が3勝しているのも頷ける。さらに東京のマイル戦、サウジアラビアRC、ベゴニア賞との関連も強く、14年のダノンプラチナ、16年のサトノアレス、そして17年ダノンプレミアム、昨年のサリオスと4頭も勝ってきた。こうした流れは今年にどう結びつくかだが、ただ一頭15年の勝ち馬リオンディーズだけがキャリア1戦で勝っていた。キングカメハメハ産駒で11月の2000米の新馬戦を勝ってすぐにここにのぞみ、大外から33秒3の切れ味を発揮していた。GI・2勝のエピファネイアの弟で、キャリア1戦ながら2番人気に期待されていて、稀なケースだ。

 こうしてみてくると、実績より素養から有力馬をしぼりたくなる。やはり、血統面から考えるのがまず最初にやるべきことだ。

 ディープインパクト、キングカメハメハ以外は、ハーツクライ、ダイワメジャーが勝ち馬を出し、今年はこれに新種牡馬がどう喰らい下がるかだ。中では、ドゥラメンテが父キングカメハメハの血を受け、新種牡馬としてその産駒からダービー馬が出れば、父仔3代のダービー馬誕生という快挙達成につながる。

 朝日杯FSでは、ドゥラモンド(2戦2勝)が一番魅力がある。正攻法で福島の1800米、出遅れた中山のマイルでは控えて最速の上がりで連勝、タイムは目立たないが可能性は大きい。平成最後の2冠馬ドゥラメンテは、ダービーで父キングカメハメハが保持していたレースレコードをぬり替えていて、現役時代は野生味にあふれていた。ドゥラモンドのみならず、今後もその産駒に注目していきたい。

 産駒が勝ち馬となっている中では、ディープインパクトのレッドベルオーブ、ダイワメジャーのモントライゼ、キングカメハメハのホウオウアマゾンをマークし、前走東京の重賞を勝った凱旋門賞馬バゴの子供ステラヴェローチェを加えた5頭を結論としてあげておく。ホープフルS組とどっちが今年は上か。

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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