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【シンザン記念予想】母譲りの末脚でGI戦線へ

  • 2021年01月09日(土) 18時00分

前走の走破時計は非常に平凡だが…


 各馬の出走回数が多かった当時、寒い1月のこの重賞はクラシックには結び付かない重賞とされた時代があった。春に備えてひと息入れるのがトップクラスだった。

 だが、2007年にダイワスカーレット(桜花賞などGI4勝)が3戦目で2着したあたりから明らかに流れが変わった。出走レースを絞るのがふつうになった現在、年が明けた3歳牝馬にとり、理想の位置にあるマイル重賞だろう…とする陣営が増えた。

 最近10年、2011年マルセリーナ(桜花賞)、2012年ジェンティルドンナ(桜花賞などGI7勝)、2016年ジュエラー(桜花賞)、2018年アーモンドアイ(桜花賞などGI9勝)が出走したのがこのレース。アーモンドアイは、次が桜花賞だった。

 今年も牝馬ククナ(父キングカメハメハ)が有力馬として出走してきた。母クルミナル(父ディープインパクト)は2015年の桜花賞2着、オークス3着馬。牝系は先週の中山金杯を制したヒシイグアスと同じように、もう一世紀以上も南米アルゼンチンで発展したファミリーになる。

 ククナにとって関東馬が遠征しやすい初の中京でのシンザン記念となったのも、挑戦を決めた一因かもしれない。美浦の栗田徹厩舎は昨春、中京へ初遠征となった3歳牝馬シャインガーネットでファルコンSを制している。

 アルテミスS1600mは最優秀2歳牝馬となった白毛のソダシの0秒3差2着だが、スタート直後から内枠でもまれ、ずっと密集した馬群の中。ようやく外に出せたのは直線残り300mあたりだった。

 そこからエンジン全開となり上がり33秒4はメンバー中最速。勝ったソダシのそれを0秒5上回っている。完敗は事実でも、追っての鋭さは2015年の桜花賞を上がり33秒4で2着(7番人気)に突っ込んだ母クルミナル譲りだった。

 走破時計の1分35秒2は非常に平凡だが、2歳秋に快時計の激走はあとのことを考えると歓迎ではなく、逆に活力のロスはほとんどなかったとしたい。2017年のアルテミスSの勝ち馬ラッキーライラック(桜花賞2着。GI4勝)は1分34秒9。2016年のリスグラシュー(桜花賞2着。GI4勝)は1分35秒5だった。

 コース形態から中京1600mの外枠は有利ではないが、先行タイプではなく、内枠で牡馬にもまれる危険を考えると、逆に不利の少ない枠順ともいえる。

 相手の主力は左回りの中京向きロードマックス(父ディープインパクト)、同じくピクシーナイト(父モーリス)。先行してしぶといバスラットレオン(父キズナ)。

 中京の1600mを1分33秒7で2着 (このとき勝ったのは朝日杯FS3着のレッドベルオーブ) しているカスティーリャ(父モーリス)も侮れない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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