今日で東京競馬場の誘導馬を引退したサクセスブロッケン (撮影:下野雄規)
本日行われたフェブラリーSを最後に、誘導馬を引退したサクセスブロッケン。現役時代はフェブラリーS、ジャパンダートダービー、東京大賞典を制すなどダート戦線で活躍し、東京競馬場で誘導馬となってからも、関西弁の看板誘導馬として愛されていました。そんなサクセスブロッケンとのこれまでの思い出を、担当の葛原耕二さんに伺いました。
(取材・文=佐々木祥恵)
にんじんとリンゴが大好きなブー
サクセスブロッケンが東京競馬場の誘導馬としてデビューしたのは、2012年。競走馬時代からグッドルッキングホースだったが、誘導馬になってからも変わらぬ美しい馬体をファンの前に披露してくれていた。
誘導馬になって2年目の2014年に東京競馬場で取材した時は、2代目の担当者だった岩本浩さんにツンデレな素顔を語ってもらった。(参照:
サクセスブロッケン、目指せ!憧れのダービー先導)
あれからおよそ7年の月日が流れ、当時9歳だったサクセスブロッケンも明け16歳。かつて自らが制したフェブラリーSでの誘導を最後に、約9年間務めた誘導馬を引退することが発表された。
2009年のフェブラリーSを制したサクセスブロッケン(撮影:下野雄規)
現在の担当は3代目の葛原耕二さんだ。担当して丸5年になるという。
「気が強くて、オンとオフがはっきりしています。馬房ではまったりしていますが、誘導や競技会になるとピリッとして雰囲気が変わります」
さすがGIを制するなど、競走馬として結果を残す馬だけある。
嫌いなのは獣医師だ。
「ブロッケンの目の前に獣医さんが来ると、耳を絞ったり、噛みつこうとしたりと、攻撃的になっているのがはっきりとわかります。何かされるというのを、白衣を着ていると余計にわかるのでしょうかね。私がそばについていると我慢してくれるのですけど、獣医師だけだと結構イライラ感を表に出しますね。普段はオレ様なイメージなのですけど(笑)」
他の馬の治療の時も、ブロッケンの前を獣医が通ると耳を絞って不機嫌になるらしい。
「白衣…なんか苦手やねん!」(ユーザー提供:shanさん)
そんなブロッケンを、葛原さんは何と呼んでいるのだろう。
「ブロッケンとかブーですね。馬房から出す時は、よくブーと呼んでいました」
ブーと呼ぶと、葛原さんの方をちゃんと見てくれた。
食欲は旺盛で、飼い葉桶をなめるように完食する。好物はにんじんとリンゴ。
もぐもぐ…(ユーザー提供:じょびさん)
「私がブロッケンの前を歩くと、ブヒブヒ鳴いて催促します。ブロッケンは歯が強いので、にんじんもリンゴも一気に噛み砕くので、あげると気持ちが良いですね」
ついに叶った! ダービーの先頭誘導
思い出に残っているのは、2016年6月26日(日)、東京競馬場の最終レース終了後にファンの前で行ったジャンピングホースショーだ。
「拍手や歓声に結構敏感なので、その時は大きな声や拍手はご遠慮くださいという形でやらせてもらいましたが、堂々としていましたね。ブロッケンらしく、力強い飛越をしてくれました」
ジャンピングホースショーにて(ユーザー提供:ポンタも大好きさん)
そしてもう1つが、昨年の日本ダービーで誘導を務めたことだ。
「ブロッケンは最下位でしたけどダービーに出走していますし、ダービーは特別なレースなので、誘導できればと思っていました。無観客でありましたが、念願のダービーで先頭の誘導ができたことは心に残りましたね」
この時に一緒に誘導したのが、NHKマイルCを優勝し、ダービー出走の経験があるマイネルホウオウ。GI馬同士の豪華な誘導となった。
「4連勝で臨んだダービーは3番人気だったんやで」(撮影:下野雄規)
「マイネルホウオウは常に冷静で落ち着いていて、ブロッケンほど熱くならない感じに見えますね。ダービーの誘導の時のブロッケンは