騎手界に若返りの風が吹き始めている。昨年、勝利数ランク10位以内に横山武史(22)と岩田望来(20)という20代前半の2騎手が進出を果たし、平均年齢を大きく下げた。今年はまだ始まったばかりだが、流れは続いており、1月17日の日経新春杯(中京・GII)を団野大成(20)がショウリュウイクゾで勝ち、重賞初制覇。2月7日の東京新聞杯(GIII)では、菅原明良(19)がカラテの優勝で続いた。この結果、2019年3月にデビューした世代(競馬学校騎手課程35期)の7人中、2年足らずで3人が重賞勝ち星をあげたことになる。
実は35期で最も通算勝ち星の多い岩田望は重賞未勝利だが、現在の活躍ぶりを見れば時間の問題だろう。今年の勝利数ランクは21日終了時点で12勝と10勝の間に10人(9-18位)がひしめく混戦だが、岩田望は20、21日に計6勝をあげて8位に浮上し、団野、菅原も9-18位の混戦に食い込む。35期生と横山武が、新旧交代の主役を担う流れだ。

▲カラテで東京新聞杯を勝利 (撮影:下野雄規)

▲重賞制覇を果たした菅原騎手 (C)netkeiba.com
年明けに2人が重賞勝ち
7日の東京新聞杯の後、菅原明はインタビューで、団野の重賞制覇についての質問に、「負けていられない気持ち。同期で切磋琢磨していきたい」と話した。菅原明は初年度の19年に31勝をあげ、JRA賞新人騎手賞の条件を満たしていたが、2人が上にいた。斎藤新(20)が42勝で受賞し、岩田望も37勝。
斎藤新は2年目に35勝と勝ち星が減ったが、昨年7月にCBC賞(阪神、GIII)を13番人気の伏兵ラブカンプーで逃げ切り、重賞制覇でも同期の先陣を切った。菅原明も2年目は30勝と前年の数字に届かなかったが、これは昨年1月13日の中山で落馬負傷し、約3カ月も戦列離脱したことが響いていた。今年は快調に勝ち星を伸ばし、躍進が期待される。

▲同期の先陣を切って重賞勝利した斎藤騎手 (C)netkeiba.com
団野は初年度も26勝と成績は悪くなかったが、30勝超えが3人も出たため、影に隠れていた。だが、2年目の昨年は62勝と大躍進。勝利数で35期生の2番手に浮上した。そして今年早々に重賞制覇。勝ったショウリュウイクゾは格上挑戦だったが、道中は3番手を進む積極的なレース運びで押し切った。ハンディ53kgと人気馬の凡走に助けられた面はあるが、前年からの勢いを持続させた形だ。
過去2年、夏場は北海道で騎乗し、所属の斉藤崇史厩舎だけでなく、藤沢和雄厩舎などの有力厩舎の騎乗機会も得て勝ち星を伸ばした。通算99勝で減量騎手卒業を目前にしている。

▲格上挑戦のショウリュウイクゾで金星 (C)netkeiba.com

▲斉藤崇史厩舎所属の団野騎手 (C)netkeiba.com
◆下がった「トップ10」の平均年齢
昨年の勝利数ランクを見ても、若返りの風は既に吹いていた。年末時点で22歳だった横山武が94勝で6位に、岩田望が76勝で9位に入った。2人が加わった結果、上位10人の平均年齢は34.7歳と前年の37.3歳から2.6歳若返った。若返りの主役となった横山武は、初年度こそ13勝とさほど目立たなかったが、2年目から35→54→94と着実に成績を伸ばしてきた。
昨年はフローラSをウインマリリンで優勝。同馬は続くオークスでは父の横山典弘(53)に乗り替わったが、19年の日本ダービーでは逆に、父の騎乗停止でリオンリオンに騎乗する機会を得た。今年も2月14日の共同通信杯(GIII)をエフフォーリアで優勝。初戦から自らが騎乗して3戦3勝。このままクラシックでも騎乗することになれば、今まで以上に大きな機会となる。思い起こせば、父典弘がメジロライアンに騎乗してダービー2着に入ったのも90年。22歳の年だった。