英国の競馬開催日程が発表、グランドナショナルは予定通り4月10日に
ロックダウン緩和行程から1週間延期説も浮上したが…
2月26日(金曜日)に英国の競馬統括団体ブリティッシュ・ホースレーシング・オーソリティ(BHA)から、2021年の競馬開催日程の発表があり、平地競馬が896開催、障害競馬が589開催、平地・障害競馬同時開催1の、合計1486開催が行われることが確認された。
芝の平地競馬は、3月27日(土曜日)にドンカスター競馬場で行われる開催で開幕。11月6日(土曜日)に同じくドンカスター競馬場で行われる開催をもって閉幕という、例年通りのスケジュールとなっている。
今回は開催日程の発表のみで、重賞競走の施行日程は発表に含まれていないが、5月1日(土曜日)と2日(日曜日)にはニューマーケット競馬場で、6月4日(金曜日)と5日(土曜日)にはエプソムダウンズ競馬場で、9月11日(土曜日)にはドンカスター競馬場での開催が組まれているから、3歳3冠は例年通りの日程で施行される模様だ。
また、6月15日(火曜日)から19日(土曜日)までアスコット競馬場で、7月27日(火曜日)から31日(土曜日)までグッドウッド競馬場で、8月18日(水曜日)から21日(土曜日)までヨーク競馬場で、それぞれ開催が組まれているから、ロイヤルアスコット、グロリアスグッドウッド、ヨーク・イボアといった名物開催も、平年のスケジュール通りに施行されることになりそうである。
余談だが、エリザベス女王の年間スケジュールにおいて、英国ダービーとロイヤルアスコットは最優先されるとの、暗黙の了解があるとされており、すなわち今後は、6月5日と、6月15日から19日は、他の公務が入らないよう調整されることになるはずだ。また、1486開催のうち1078開催は「午後開催」で、408開催は「夜開催」となることも、あわせて確認されている。
平時であれば、こうした開催をハシゴして騎乗するトップジョッキーが多くみられるのだが、新型コロナウイルス感染拡大と同時に導入された、「騎手の騎乗は1日に1競馬場に限定する」との新ルールが今後も継続されるため、当面は競馬場を移動しての騎乗は認められないことになっている。
BHAは同時に、現在は無観客で施行されている競馬開催に、3月29日から出走馬主の入場を認め、5月17日から限定的に一般客の集客を再開するという、およそのガイドラインも公表している。
これは、BHAの開催日程発表からさかのぼること3日前の2月23日に、英国政府が公表した、ロックダウンの段階的緩和行程を反映したものとなっている。ワクチン接種が順調に進むことなどを条件とした、英国におけるロックダウン緩和行程とは、下記の通りである。
ステップ1:3月8日に学校を再開する。同居人以外に1名を帯同しての、屋外のピクニックを認める。
ステップ2:4月12日に小売店の営業を再開し、飲食店の屋外営業を認める。
ステップ3:5月17日に30人までの屋外集会を認め、スタジアムのスポーツ観戦も条件付きで認める。
ステップ4:6月21日に全ての法的規制を解除する。
実は、上記に示された規制緩和行程と、その3日後に発表された2021年の競馬開催日程が、一部でまことしやかな憶測を生むことになった。例えば、英国における国民的行事となっている障害界の一大イベント・グランドナショナルは、4月10日に行なわれる予定だ。
これを規制緩和行程に当てはめると、ステップ2の2日前になる。街中のブックメーカーが営業を再開出来るのは4月12日だから、グランドナショナルの日程を1週間後ろにずらせば、「1年に1回馬券を買う人は、このレースを買う」と言われるグランドナショナルの馬券を、ブックメーカーで買える状況で施行出来るのだ。
そこで、グランドナショナルの「1週間延期説」が浮上したのである。あるいは、英国競馬の華と称されるロイヤルアスコットは、前述したように6月15日から19日に組まれている。これを緩和行程表に当てはめると、ステップ4の直前となる。これも日程を1週間後ろにずらせば、スタンドが観客で満員になった状態での開催が可能になるのだ。ここで、ロイヤルアスコットの「1週間延期説」も浮上したのである。
だが、グランドナショナルについては、ジョッキークラブが日程変更の可能性を否定。予定通りに4月10日に行うことを発表している。
ロイヤルアスコットについては、アスコット競馬場の広報担当役員に直接確認したところ、「あらゆる可能性が選択肢として残っている」としながらも、「政府の規制緩和行程表は条件付きのもので、最速ならこうなるというガイドラインに過ぎない。あくまでも私個人の考えだが、ロイヤルアスコットの日程は変更しないと思う」との回答が得られている。主要競走の日程や開催方法に関して、新たな情報が出てくれば、またこの場を借りてご報告したいと思う。