モーリス産駒の懐の深さを証明したシゲルピンクルビー
先週の血統ピックアップ
・3/14 金鯱賞(GII・中京・芝2000m)
果敢にハナを切ったギベオンがデアリングタクトの追撃をクビ差しりぞけて逃げ切りました。「単勝227.3倍」は、2000年以降の重賞では4番目となる高配当です(トップは昨年のダイヤモンドSでミライヘノツバサが記録した325.5倍)。
母コンテスティッドは現役時代、エイコーンS(米G1・ダート8ハロン)、テストS(米G1・ダート7ハロン)など3つの重賞を含め7戦5勝の成績を残した名牝。母の父ゴーストザッパーは00年代のアメリカ最強馬の1頭で、デピュティミニスター系だけあってブルードメアサイアーとして優秀。米三冠馬ジャスティファイや本邦輸入種牡馬ドレフォンの母の父となっています。
ディープインパクト産駒ではありますが、スパッと切れるタイプではなく、スピードの持続力とパワーを兼ね備えた母の特長がよく現れています。今回は力の要る馬場で展開もハマった結果、能力を存分に活かすことができたということでしょう。
・3/14 フィリーズレビュー(GII・阪神・芝1400m)
中団につけたシゲルピンクルビーが直線で馬群を割って伸び、ヨカヨカをクビ差抑えて快勝しました。名前から連想されるようにシゲルピンクダイヤ(桜花賞2着、秋華賞3着)の半妹で、父はダイワメジャーからモーリスに替わりました。
モーリス産駒の重賞勝ち馬はシンザン記念を勝ったピクシーナイトに次いで2頭目です。ピクシーナイトは母が「キングヘイロー×サクラバクシンオー」という、現役時代にスプリントGIを勝った馬同士の組み合わせ。一方、シゲルピンクルビーは「ハイシャパラル×シンダー」という、現役時代に英ダービーを勝った馬同士の組み合わせ。まったく対照的な配合ながらいずれも重賞を勝ったのは、父モーリスの懐の深さの証明といえるでしょう。
シゲルピンクルビーはサドラーズウェルズ4×3。このクロスを持つモーリス産駒は、勝率、連対率、複勝率ともモーリス産駒全体の平均を下回っています。スピード面に難があるため、どうしてもアベレージが低くなってしまいます。ただ、勝ち上がった馬は、本馬を含めてストゥーティ、カイザーノヴァ、ルペルカーリアと大物感があり、1走あたりの獲得賞金はモーリス産駒全体の平均を上回っています。このクロスを持つモーリス産駒は、重賞などの格の高いレースでは軽く見ないほうがいいでしょう。
今週の血統注目馬は?
・3/20 武庫川S(3勝クラス・阪神・芝1600m)
エピファネイア産駒は阪神芝1600mで連対率26.0%。2011年以降、当コースで産駒が20走以上した79頭の種牡馬のなかで第2位という優秀な成績です。当レースには産駒のノルカソルカが登録しています。今回が昇級初戦ですが、成績は安定しており、相手なりに走るので、今回もチャンスでしょう。
今週の血統Tips
昨年の朝日杯フューチュリティSを制したグレナディアガーズがファルコンSから始動します。同じく2歳GIを勝ったダノンザキッドは、先日の弥生賞ディープインパクト記念で3着と敗れましたが、グレナディアガーズはクラシックではなくマイル路線に矛先を向け、なおかつ今回はGIIIなので落とせないところです。
ただ、馬の能力はさておき、血統データからは楽観できません。フランケル産駒は中京芝で連対率8.8%。全10場のなかで最も成績が劣ります。少し悪い程度ではなく、箸にも棒にもかからない、といった劣悪さです。不可解としか言いようがなく、原因はよく分かりません。グレナディアガーズ自身も昨年9月に走って凡走しています。
それとは対照的に、フランケル産駒の東京芝連対率は34.2%と素晴らしいので、仮に今回凡走して人気が下がったら、NHKマイルCでは見直したいところです。