種牡馬クリスエス(父ロベルト、2002年死亡)は、日本ではシンボリクリスエス、ちょっと古くはマチカネアレグロなどの父として知られ、同父系のブライアンズタイムや、グラスワンダーの父シルヴァーホーク、さらにはリアルシャダイなどと似たようなムードをもつ血を伝えている。
クリスエスの産駒には、英ダービーのクリスキン、BCターフのプライズド、アーリントンミリオンのキッケンクリスなどがいて、芝向き。成長力を伝えると同時に、日本ではシンボリクリスエスが勝ち続けたから安定型のイメージを与えるが、だいたいは大駆けタイプで、好調期間は短かったりする。一発屋のタイプも多い。
東京11Rのスムースバリトンは、シーザリオや、インティライミ、先週勝ったアクレイムなどと同じスペシャルウィーク産駒で、2年目の産駒として最初に頭角を現した(東京スポーツ杯2歳Sを快勝)馬だった。
骨折のため肝心のクラシックシーズンを棒に振っただけでなく、カムバックした後もどうも冴えを欠いているが、父スペシャルウィークの産駒も、クリスエスの血を引く馬も、総じて好調時と不調時がはっきりしてしまうようなところがあって、スムースバリトンはその悪い面が出ている気がする。だが、この中間、やっと本来の迫力ある動きが戻っている。そろそろ復活だろう。大跳びで、すぐ反応しないのは父母両系の血筋通り。それだけに東京コースでこそだ。距離も2000m前後が合っている。
小倉大賞典のエイシンドーバーは、その母が前出プライズド、マチカネアレグロ兄弟といとこになり、かつ同じクリスエスの産駒。こちらは前走こそ降着になったが、引き続き絶好調キープ。好調で勢いに乗っているときのクリスエスの血もかなり影響を与えそうだ。
父はミスプロ系。メイショウカイドウと同じように、ローカルの平坦コースを大の得意とする馬に育つ可能性がある。