▲永島まなみ騎手(左)と古川奈穂騎手、素顔満載の対談が実現 (撮影:桂伸也)
新人女性ジョッキーふたりの対談が実現。【レース】【騎手】【厩舎】【プライベート】というジャンルで、それぞれ3つの質問を投げかけます。それに「○」「×」で答えていただき、知られざるホンネに迫ろうというのが今回の企画!
初回のテーマは【レース】です。ふたりともデビュー2週目に初勝利を挙げ、以降着々と腕を磨いています。「この活躍は想定内?」「騎手という仕事が板についてきた?」など、気になる質問にふたりの答えは!?
(取材・構成=不破由妃子)
Q1「3月中のスピード勝利、これは私の想定内!」
▲古川騎手は「○」永島騎手は「×」を…その理由は?! (撮影:桂伸也)
古川 学校生の期間がけっこう長かったので(ケガの影響で1年留年)、自分がデビューしたときのことをいろいろと考える時間も多く、なかでも一番イメージしていたのは「初騎乗、初勝利」でした。それは叶いませんでしたが、デビューしてからは、常に勝利するイメージを持って乗っていました。
永島 私は、思ったより早く勝てたなという気持ちのほうが大きいです。学校生の頃、何度か模擬レースで勝つことはできたのですが、馬に助けてもらった部分が多くて、「自分がこうしたから勝てた」とは思えないレースばかりでした。
模擬レースでも満足できる騎乗がまったくできなかったので、卒業後も「このままで大丈夫かな」という不安が少しあって。だから、3月中に初勝利(3月14日・中京2R・3歳未勝利・アクイール)を挙げることができて、すごくうれしかったです。
▲デビュー2週目に自厩舎のアクイールで勝利! (撮影:高橋正和)
──古川ジョッキーの初勝利(3月13日・阪神6R・3歳1勝クラス・バスラットレオン)は、初めての1番人気(単勝1.9倍)でもありましたね。緊張したのでは?
古川 矢作先生からいろいろと指示をいただくなかで、「馬の力を信じて乗れば大丈夫だから」と言っていただいていたので、人気は気にせず、オッズも見ずに、馬を信じて乗ることだけを心がけていました。だから、楽しんで乗ることができましたね。
▲単勝1倍台で初勝利を決めた古川騎手 (C)netkeiba.com
──それは頼もしい。おふたりとも、余裕を持っての逃げ切り勝ちでしたね。直線はどんなことを考えながら追っていましたか?
古川 「勝てるかな」と思える手応えで直線を迎えることができたので、あとは人が焦ることなく、いかに追い出しを我慢できるかだけだなと思っていました。ただ、追い出してからは少し焦ってしまって…。「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせていました。それでも馬は強かったですし、勝てたのは馬のおかげです。
永島 私は4コーナーから直線にかけて、西村淳也騎手と加藤祥太騎手がきているのがわかっていたので、直線に向いたときは、「お願いだからこないで!」と思っていました(笑)。
Q2「デビューから約1カ月、思った以上にジョッキーという仕事が板についてきた」
▲古川騎手は迷わず「○」を! (撮影:桂伸也)
古川 技術的にということではもちろんなくて、週末の競馬も含め、騎手としての1週間のサイクルがとても充実しているなと感じていますし、周りの方からも「デビューしてから顔つきが変わったね」と言っていただけることが多いんです。
実際、プロになったことで心境にも変化がありましたし、とても楽しく過ごせているので、騎手という職業が合っていたのかなと自分では思っています。
▲一方の永島騎手は「×」を選択 (撮影:桂伸也)
永島 私はまだまだ…。デビュー週はとくに、外々を回ってしまったりとか、すごく馬に申し訳ないレースをしてしまって。プロの騎手としてもっとロスなく、馬に負担をかけないレースを意識しなくちゃいけないなと思っているところです。
ただ、古川さんと同じで、ジョッキーとしての毎日はすごく充実しています。ジョッキーとしての生活サイクルは、すごく好きです。
Q3「こんなの聞いてなかった……学校では習っていないことがレース中に起きた!」
▲永島騎手は初めは迷うも、ふたりとも「○」に (撮影:桂伸也)
古川 私は、レース中に鐙の尾錠が外れてしまうというアクシデントがあって…。どんどん鐙が伸びてきてしまって、怖さというより、その馬の関係者の方々に申し訳なくて仕方がなかったです。
レースのあと、先輩ジョッキーから「新しい鞍や新品のものを使うときは、革が硬くて、ちょっと嵌まりにくかったり、浮いてしまったりすることがある」とお聞きしました。その対策もいろいろと教えていただいたので、二度と同じミスを繰り返さないようにしたいと思っています。
──古川ジョッキーはすごく落ち着いているイメージですが、そのときはさすがに焦ったのでは?
古川 「怖かったでしょ?」とたくさんの方から聞かれたんですけど、怖いというより、「どうしよう…」という感じで。ひとりで静かに焦っていましたね(苦笑)。馬にも本当に申し訳なかったです。まなみちゃんは、“ダート板”だよね?
永島 はい。私は、ダート板(ゴーグルの上につける透明な板)が鼻のところまでズボッと下がってきてしまうというアクシデントがありました。模擬レースで乗っていた馬と現役馬ではスピードも全然違うので、ゲートを出た瞬間にズボッと(苦笑)。
上手く前の位置につけることができなかったこともあって、100mくらい進んだらダート板に砂がたくさん付いて前が見えなくなってしまったので、コーナーに入るあたりですべて取ってしまいました。
──ゴーグルのみになってしまったということですね。
永島 そうです。ダート板を外したことで、顔のいろんなところに砂が飛んできて…。すごく痛かったです(苦笑)。
(文中敬称略、次回へつづく)