▲今回は大阪杯と皐月賞の回顧をお届けします (撮影:桂伸也)
今月からスタートした、川田将雅騎手の新連載『VOICE』。初回コラムは、非常にたくさんの皆様に目にしていただきました。ここに深く御礼申し上げます。
今回のテーマは直近の話題をお届けする「月刊 川田将雅」。GIの高松宮記念、大阪杯をはじめ、圧巻の4週連続重賞勝利中。振り返りたいレースがたくさんあるため、今回は22日(木)23日(金)の2日連続で回顧をお届けします。
本日取り上げるのは、無敗で制したレイパパレの大阪杯。逃げ切り勝利の裏には、川田騎手が仕掛けた巧妙な心理戦がありました。また、1番人気に支持されるも、無念の15着となったダノンザキッドの皐月賞も振り返ります。
(取材・構成=不破由妃子)
鐙のアクシデントは想定済み
──大阪杯では、レイパパレで大仕事を成し遂げました。
川田 やってくれましたね。
──しかも圧勝! 非常に前進気勢が強く、難しい馬だとおっしゃっていましたが、あの日のレイパパレは違ったのですか?
川田 前走のチャレンジCに比べれば、圧倒的に穏やかな状態で返し馬を走ることができました。進み過ぎるところはありますが、コントロールできる範囲内で返し馬を終えることができたので、今日は精神的によく我慢してくれているなと思いましたね。
──レイパパレ自身も、無敗で底を見せていない魅力があったとはいえ、相手はコントレイル、グランアレグリアなど、現役最強を争うメンバー。正直、勝ち負けできる手応えというのは、どの程度あったのでしょうか?
川田 「これなら勝ちにいける」という感触を得たのは、競馬の直前です。馬場状態を確認しつつ、いい雰囲気で返し馬を終えることができて、ポケットもこの馬なりに穏やかに過ごしながら、改めてほかの馬たちを確認しました。
そこからゲート裏まで行くときに、もう一度キャンターをしてみたんですけど、より整えてキャンターに下したんですよ。そのときの走りが本当に素晴らしく、総合的に考えて「これなら」と思えるものだったので、ああいう競馬を組み立てることにしました。
──そういえば、スタートで川田さんがバランスを崩すシーンがありましたね。ちょっとヒヤッとしました。
川田 右の鐙が外れて、一本背負いされそうになりました(笑)。でも、それもある意味、想定済みでした。
──まさかの想定済み。