「やっぱり走る」と感じたデビュー戦の内容

──デゼルがデビューしたのは3歳3月とゆっくりでした。

友道　馴致を始める前に飛節を骨折して、社台サラブレッドクラブでの募集も1回取りやめになったくらいでした。それでも、2歳夏に北海道でゲート試験を受けられて、牧場に戻して成長を促し、9月に一度入厩させたんですけど「まだ早いかな」と、再び牧場に戻しました。焦って新馬戦に間に合わせるようなこともなかったですから。

──未勝利戦でのデビューとなりましたが、4コーナーではまだ後方だったのが、気づくとワープしたかのように先頭に並びかけていてビックリしました。

友道　調教でも動いていたので、自信を持って見ていたんですけど、4コーナーを回った時に「あ、これはダメかも」と思いました。それが、あそこから大外を回るんじゃなくて馬群を縫ってグーンと上がっていったので、「やっぱり走るな」とデビュー戦を見て改めて思いました。

──チーターのような重心を低くした走りでした。

友道　普通のキャンターは乗り味があんまり良くないみたいなんです (苦笑)。武豊騎手が最初に調教で乗った時も「フランスによくありがちな馬」と言っていて、フランスの馬はそういう感じのようです。

──お母さんのアヴニールセルタンはフランスでG1を2勝するなど活躍した馬。フランスの血を受け継いでいるのでしょうか。

友道　こないだの阪神牝馬Sを勝った時も川田騎手がレース後のコメントで「すごく独特な走りをする馬」みたいなニュアンスのことを言っていましたよね。トップスピードになるまで本気を出さないみたいです。


──スピードが上がるにつれて、どんどんいい走りになっていく「本番タイプ」なんですね。2戦目のスイートピーS前の調教ではユーキャンスマイルとの併せ馬でも怯むことなく走っていました。

友道　そうそう、調教ではいい感じで動くんです。

──スイートピーSを勝ち、オークスに駒を進めましたが11着。秋もローズS4着後に休養に入りました。

友道　ローズSの前からツメの不安があって、ローズSもなかなか思い通りの調教ができませんでした。それでも賞金で秋華賞に出られそうだったんですけど、やっぱり無理せずに、ということで休養に入りました。ツメのことなので、そこが治ってしまえば問題なく、年末くらいから牧場で乗り始めました。

3戦2勝。東京の長い直線は合っている

──休養明け初戦となった今年1月の迎春Sはこれまでと打って変わって前めの5番手でレースを進められましたね。

友道　いいポジションを取れましたが、エンジンの掛かりが遅いので、中山コースは向いていませんでしたね。

──そのあとから距離短縮をしていきますが、距離適性についてはどうでしょうか？

友道　距離はあった方がいいと思います。春は目標がヴィクトリアマイルで1600mなので前走もマイルを使いましたけど、基本的には2000mかそれ以上あってもいいと思います。改めて前走の阪神の1600mはしまいだけでよく頑張ってくれたと思います。


──決してベストな条件ではない中での重賞制覇は素質の高さを感じます。今回、ヴィクトリアマイルも1600mとなります。

友道　東京のマイルは同じ1600mでも一番走りやすい舞台だと思うので、前走の阪神より競馬はしやすいと思います。直線も長いですしね。

──スイートピーSや2走前は東京の長い直線を目いっぱい使って追い込んできましたものね。

友道　そうなんです。オークスは負けましたけど、あれは少し強行軍で体調も万全ではありませんでした。東京は3戦2勝で、オークス以外は勝っています。東京の長い直線は合っていると思いますし、期待しています。

──短距離女王・グランアレグリアやレシステンシアなど有力馬も出走予定です。

友道　強い馬も出てきますけど、どこまでやってくれるのかな、と楽しみの方が大きいです。

──改めて、ヴィクトリアマイルに向けて意気込みをお願いします。

友道　お母さんがフランスのオークスを勝っているので、なんとか娘で日本のオークスをと思ったんですけど、デゼルも妹のオヌールもダメだったので、なんとか次は日本のGIを勝てるようにがんばりたいと思います。


(※文中敬称略)