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【オークス予想】クロフネ産駒の距離不安を払拭できるか

  • 2021年05月22日(土) 18時00分

スロー必至、展開も味方するはず


 最大のポイントは、人気のソダシ(父クロフネ)は2400mの距離をこなせるか、にある。クロフネの産駒が距離2000m以上の芝の重賞を勝っていないことは知られる。当然、大きな死角になる。

 だが、母ブチコの半姉ユキチャン(白毛)は、芝2000mよりもっとタフな関東オークス(川崎ダート2100m)を制している。ほかにはホワイトフーガなど合わせて4頭が関東オークスを勝っている。同距離のエンプレス杯を勝ったブラボーデイジーもいる。

 ユキチャンは途中から公営に移籍したが、JRA所属時にダート2100mの統一重賞を勝っている。他馬もことごとくJRAの牝馬だった。スタミナがないわけではない。クロフネは後継種牡馬がごく少ないように、男馬の産駒は、父と違ってスタミナや底力を欠くことが多いが、「牝馬のクロフネ」の血を持つ牝馬は男馬とはだいぶ異なる。

 母の父にクロフネを持つクロノジェネシスは男馬相手の有馬記念2500mと宝塚記念2200mを制し、レイパパレは重馬場の大阪杯2000mを独走した。こと牝馬にかぎれば、「クロフネ産駒だから…」の距離不安はそう大きな死角ではない。

 今年のオークス。逃げ切って勝った記録を持つ馬が1頭もいない。それどころか、ここまで先手を奪って自分でレースをつくった馬が1頭もいない組み合わせになった。

 押し出され、意を決してだれかが行くことになるが、ハイペースの展開は考えにくい。ソダシ陣営は「どの馬も行かないなら…」、自身が行く積極策もほのめかしている。スローの流れになる可能性が大きく、スタミナが明暗を分けるレースにはならない。自身で折り合いを欠かなければ、先行のソダシに流れは味方する。阪神JFで「ハナ差」。桜花賞では「クビ差」まで猛追してきたサトノレイナスは、日本ダービーを選んだ。

 ソダシは、洋芝の札幌2歳S1800mをレコード勝ちした時点で、多くの人びとがオークス候補と思った。桜花賞候補ではなかった。

 距離に注目というなら、オークス【3-3-3-18】の武豊騎手を配してきたクールキャット(父スクリーンヒーロー)に注目。3代母メジロツシマは、武豊騎手とのコンビでGIとGIIを8勝もしたメジロマックイーンの母の半姉になる。

 スイートピーSをレースレコードの1分46秒2で勝ったタガノパッション(父キングカメハメハ)の祖母は、種牡馬ステイゴールドの全妹。控えて進む可能性が高いので、あくまでもつれてだが、スタミナ能力に不安はない。

 今春の阪神はあまりに高速すぎる芝だったが、「忘れな草賞」を史上初めて2分を切る1分58秒0のレースレコードで快勝したステラリアの牝系は欧州色が濃い。母の父モティヴェイターは英ダービー馬。父キズナは日本ダービー馬。2400m歓迎だろう。

 ククナ(父キングカメハメハ)の母クルミナルは、2015年のオークス3着馬。明らかに大外枠の不利があった。一転して産駒は最内枠。必ずしも有利な枠順ではないが、コースロスはない。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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