先週の血統ピックアップ
・6/13 エプソムC(GIII・東京・芝1800m)
中団を追走したザダルが残り200mで馬場中央から抜け出し、サトノフラッグの追撃をクビ差抑えました。3歳春にプリンシパルSを勝った素質馬で、それから約2年が経過し、初めての重賞タイトルを手にしました。
父トーセンラーはディープインパクト産駒。現役時代にマイルCSなど3つの重賞を制覇しました。スピルバーグ(天皇賞・秋)の全兄です。種牡馬としてはザダルのほかにアイラブテーラー(京阪杯2着)を出しています。2015〜2020年の年平均種付頭数は約60頭。ディープインパクト産駒の良血馬だけに、種付け頭数が増えてくればさらに重賞級の産駒が出てくるはずです。
母の父レモンドロップキッドはキングカメハメハと同じくキングマンボを父に持ち、アメリカで多くの活躍馬を出して成功しました。日本では産駒のアポロキングダムが種牡馬として地味ながら好成績を挙げ、障害戦の重賞勝ち馬アポロマーベリックを出しています。
ザダルはディープインパクト系らしい末脚を武器としているので、直線の長いコースの芝中距離戦がベスト。天皇賞・秋が楽しみです。
・6/13 函館スプリントS(GIII・札幌・芝1200m)
外枠からハナを奪ったビアンフェがカレンモエにクビ差をつけて逃げ切りました。これで3つめの重賞タイトルです。父はキズナなので、日曜日に行われたふたつの重賞は、いずれもディープインパクトの直系の孫が勝ったことになります。
2代母アジアンミーティアは名種牡馬アンブライドルズソングの全妹。同じくノースヒルズが生産した三冠馬コントレイルは、アンブライドルズソングの娘にディープインパクトを交配して誕生しました。本馬も広い意味でディープインパクトとアンブライドルズソングのニックスから誕生した、といってもいいでしょう。
母ルシュクルはファルコンS3着馬で、新潟大賞典の勝ち馬ダコール(父ディープインパクト)の半姉にあたります。繁殖牝馬として優秀で、ビアンフェの4分の3姉ブランボヌール(父ディープインパクト)は函館2歳SとキーンランドCを勝っています。ダコールもブランボヌールも、上記のニックスから誕生しています。
ビアンフェはキズナ産駒らしい成長力でここにきて再上昇してきた感があるので、夏から秋のスプリント重賞戦線が楽しみになってきました。
今週の血統注目馬は?
・6/19 STV賞(2勝クラス・札幌・芝1500m)
札幌芝1500mと相性のいい種牡馬はディープインパクト。連対率31.1%は2011年以降、当コースで産駒が20走以上した31頭の種牡馬のなかで第2位。当レースにはバルトリが登録しています。
今回は昇級初戦ですが、前走は1勝クラスで3馬身差の逃げ切り勝ち。
母レディオブオペラは「シングスピール×キングマンボ」というヨーロッパ血統なので洋芝は合うでしょう。
今週の血統Tips
今週行われるユニコーンSは、JRAにおけるダートのダービー、といった位置づけのレースです。JRAにおけるダートの番組は、2歳から3歳前半にかけて芝中心で、ダート重賞はユニコーンSが最初です。
ダートのリステッドレースは2つ(ヒヤシンスS、鳳雛S)、オープン特別は5つ(カトレアS、昇竜S、伏竜S、端午S、青竜S)組まれています。これら7レースの勝ち馬の父を見ると、マクフィ産駒が2勝、ヘニーヒューズ産駒が2勝。あとの3勝は別々の種牡馬です。
ヘニーヒューズはすでにダート界の中心的存在で、中央と地方のダート戦を合算した2021年の種牡馬ランキングでは、サウスヴィグラスを抑えてトップを走っています。
マクフィは現3歳世代が日本で種付けをした初年度産駒。いきなりオープン特別の勝ち馬を2頭出したのは素晴らしいですね。
その2頭、カレンロマチェンコとルーチェドーロはユニコーンSにも登録しています。
どの産駒が勝つのか、これからのダート種牡馬界を占う意味でも興味深々です。