今週の月曜日、関東甲信地方が梅雨入りした。6月14日ごろの梅雨入りというのは、ここ10年で一番遅いのだという。気象庁のサイトに、1951年から昨年までの梅雨入りと梅雨明けの日付を記した一覧表がある。
今年同様、関東甲信地方の梅雨入りが6月10日ごろ以降と遅かった年を見ていくと、1951年から1986年までは半分以上が当てはまるのに、1986年の次は1999年まで飛び、次は2002年、2003年、2005年、2007年、2010年、2013年、2020年となっている。
そう、関東甲信地方の梅雨入りは、昔は遅かったのに、近年早くなっているのだ。それだけに、今年は余計に遅く感じられた。
梅雨入りが6月10日ごろ以降と遅かった年のダービー馬は、1984年のグレード制導入以降、1986年ダイナガリバー、1999年アドマイヤベガ、2002年タニノギムレット、2003年ネオユニヴァース、2005年ディープインパクト、2007年ウオッカ、2010年エイシンフラッシュ、2013年キズナ、2020年コントレイル。
何か浮き上がってくる傾向があればいいと思っていたのだが、目につくのは、武豊騎手が4勝していることと、親仔制覇が3組(タニノギムレット-ウオッカ、ディープインパクト-キズナ、コントレイル)ある、ということぐらいか。
一方、近畿地方は、今年の梅雨入りが5月16日ごろと、1951年の統計開始以来最も早い梅雨入りとなった。
5月16日というと、東京でヴィクトリアマイルが行われた日だ。関東甲信地方がエプソムカップ終了後に梅雨入りしたことを考えると、近畿地方の梅雨入りがいかに早かったか、よくわかる。
近畿地方では、近年、6月10日ごろ以降に梅雨入りする年が多くなっていた。2000年以降では、2002年、2003年、2005年、2007年、2010年、2017年、2019年、2020年。2019年などは6月27日ごろと、宝塚記念のあとに梅雨入りしている。
このように、関東甲信地方とは逆に、近年梅雨入りが遅くなる傾向があっただけに、今年は何かの間違いかと思うほど梅雨入りが早く感じられたことだろう。梅雨時に近畿地方で行われるレースといえば、宝塚記念である。
宝塚記念の施行時期は第1回から何度も変わっているが、特に大きな変更だったのは、1996年から梅雨時に行われるようになったことだ。ダンツシアトルが勝った1995年は6月4日だったが、マヤノトップガンが勝ったその1996年は7月7日。マーベラスサンデーが勝った1997年は7月6日、サイレンススズカが勝った1998年は7月12日、グラスワンダーが勝った1999年は7月11日に施行された。が、翌年、テイエムオペラオーが勝った2000年から6月の最終週に行われるようになり、現在に至る。
今年と同じく梅雨入りが5月と早かった年の宝塚記念優勝馬(1984年のグレード制導入以降)は、1990年オサイチジョージ、1991年メジロライアン、1993年メジロマックイーン、2008年エイシンデピュティ、2011年アーネストリー、2013年ゴールドシップ。
2008年だけは重馬場で、あとは良馬場。1番人気で勝ったのはメジロマックイーンだけだが、もともと1番人気の勝率はそれほど高くないレースだ。内田博幸騎手が2勝しているということ以外、特に見えてくるものはない。
恐ろしいことに、これだけ時間と文字数を費やしながら、「梅雨入りの時期と宝塚記念の傾向は無関係」という結論が出ただけのようだ。いや、しいて挙げるなら、レース史上初の連覇を果たしたゴールドシップの名が見えるので、今年はクロノジェネシスによる連覇が濃厚、ということか。しかし、わざわざ梅雨入りの時期など考慮しなくても、クロノジェネシスが有力馬であることは誰の目にも明らかである。
この話はこれくらいにしたい。今週末、南相馬市馬事公苑で開催されるRRC(Retired Racehorse Cup・引退競走馬杯)の取材に行く。晴れてほしいところだが、予報を見ると、東京にも南相馬にも傘マークがついている。雨男の私のせいではない、梅雨のせいだ、と言いたいところだが、東北南部はまだ梅雨入りしていないようだ。RRCについては、本稿でも機会があれば触れていきたいと思っている。