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【CBC賞】函館スプリントSが研究材料に? 勝利へつながった鮫島克駿騎手の選択

  • 2021年07月06日(火) 18時00分
哲三の眼

ファストフォースと逃げ切り勝ち! 笑顔の鮫島克駿騎手 (C)netkeiba.com


今年のCBC賞を制したのは8番人気のファストフォース、レコードタイムでの逃げ切り勝ちとなりました。初コンビとなった鮫島克駿騎手の騎乗について「思い切りのいい逃げっぷり」と哲三氏。先月カレンモエに騎乗し、惜しくもクビ差2着となった函館スプリントSにも触れつつ振り返ります。

(構成=赤見千尋)

「思い切り良くハナを切ったことがばっちりハマった」


 今年は小倉競馬場で行われたCBC賞。8番人気だったファストフォースがレコードタイムで逃げ切り勝ちを収めました。初騎乗だった鮫島(克駿)君は思い切りのいい逃げっぷりでしたね。

 今の小倉は時計の速い馬場状態であり、枠順や枠の並び、52キロという軽ハンデも活かしたレースでした。3枠3番という枠順で、周りの枠の並びを考えると、内の馬よりも自分の方が速い、中枠に速い馬がいるという状況で、先手を主張した方がいいのか、行かせての方がいいのか、という選択になると思います。今までのこの馬の印象だと、中枠の速い馬を行かせて3、4番手くらいかな、というイメージですが、そこを思い切り良くハナを切ったことがばっちりハマりました。

 今回のレースを見て思い浮かんだのが、先月札幌競馬場で行われた函館スプリント。あの時は(藤岡)佑介が思い切り良く逃げて、鮫島君が騎乗したカレンモエはクビ差届かず2着でした。このコラムでも取り上げましたが、3コーナーの駆け引きで、佑介がスピードを落とさないままコントロールしていたことが、後続のジョッキーたちには「速い」と感じ、難しい展開になったのではないかと。鮫島君にとっては相当悔しい負けだったと思いますが、相手が上手く乗ったということもいい反省材料、研究材料になったのではないでしょうか。

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函館スプリントSではクビ差届かず2着となったカレンモエ (C)netkeiba.com



負けた時に“どう吸収していくか”が大事


 これまでの鮫島君のレースで、今回のような勝ち方は少なかったイメージがあり、レースを見ていて「お!」と思いました。普段のレースでもスキルアップ出来ることはたくさんありますが、重賞やGIという場ではさらに吸収出来ることが多いと思っています。それは上手くいったことだけではなく、負けたレースをどう吸収していくかが大事。もちろん馬券を買ってくれている方がいる以上、いい負けというのはないけれど、負けたことをどう次に繋げていくかが重要で、そういう意味でもこのレースはとてもいい競馬でした。

 2番人気だったピクシーナイトは2着でしたが、相変わらず(福永)祐一君のレース読みが完璧だったなと。7枠11番と外目の枠でしたが、道中内を選択して、勝負所では外々を押し上げて行く馬がいるだろうという読みで、そのまま内を伸びて来ました。まだ3歳で、初めての古馬との対戦、初めての1200m戦でしたが、スプリント戦でどういう馬にしていきたいかということが見えるレースでした。

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福永祐一騎手のレース読みは「完璧だった」と哲三氏 (C)netkeiba.com


 時計の速い馬場状態だと、ジョッキーそれぞれが「こうしたい」と考えていることを的確に出来るかがより重要になって来ますから、周りの騎手がどう動くかという展開読みがばっちりハマっていると、傾向が見えているので対策もしやすくなります。今後スプリント路線で楽しみが広がるレースでした。

(※文中敬称略)

1970年9月17日生まれ。1989年に騎手デビューを果たし、以降はJRA・地方問わずに活躍。2014年に引退し、競馬解説者に転身。通算勝利数は954勝、うちGI勝利は11勝(ともに地方含む)。

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