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「ドーヴィル1歳セール」異色のロードカナロア産駒も上場

  • 2021年07月07日(水) 12時00分

バイヤーたちの熱い視線を浴びるのは…


 ヨーロッパにおけるイヤリングセール・サーキットの幕開けを飾る、「アルカナ・ドーヴィル8月1歳セール(8月14日〜16日)」の上場馬355頭のリストが発表になった。

 このうち半数近い171頭が、エリートたちが上場される14日(土曜日)と15日(日曜日)のブック1に分類されているが、そこには、母がG1勝ち馬、あるいは、兄か姉がG1勝ち馬という血統背景を持つ馬が23頭も含まれており、豪華な品揃えとなっている。

 種牡馬のラインナップを見ると、ガリレオ、ドゥバウィ、フランケルという欧州ビッグ3の産駒が、それぞれ4頭、7頭、8頭上場予定だ。

 ガリレオ産駒では、G1英ダービー勝ち馬ウイングスオヴイーグルスの半妹にあたる上場番号120番の牝馬、ドゥバウィ産駒では、G1クリテリウムドサンクルー勝ち馬ワンダーメントの半妹となる上場番号117番の牝馬や、母がG1EPテイラーS勝ち馬ブロンドミーという上場番号148番の牝馬、フランケル産駒では、G1マルセルブーサック賞勝ち馬リリーズキャンドルの半妹となる上場番号16番の牝馬や、G1クイーンエリザベス2世Sなど3つのG1を制したリップヴァンウインクルの半弟にあたる上場番号41番の牡馬らが、目玉商品となりそうだ。

 この春、産駒のシュネルマイスターがGI・NHKマイルCを制したキングマンの産駒は、大量17頭がエントリー。G1仏1000ギニー勝ち馬ビューティーパーラーの半妹にあたる上場番号142番の牝馬や、G1ミラノ大賞典勝ち馬ジャッカルベリーなど、兄に3頭のG1勝ち馬がいる上場番号156番の牡馬などが、ことさらに注目したいキングマン産駒である。

 キングマンを上回る22頭がエントリーしているのが、産駒のセントマークスバシリカが7月3日にサンダウンで行われたG1エクリプスSを制し、G1・4連勝を飾ったばかりのシユーニだ。G1EPテイラーS勝ち馬エトワールの全妹となる上場番号55番の牝馬や、G1ジャンリュックラガルデール賞勝ち馬ナショナルディフェンスの半妹となる上場番号133番の牝馬といったシユーニ産駒が、バイヤーたちの熱い視線を浴びることになりそうだ。

 この春、産駒のユニコーンライオンがGIII・鳴尾記念を制し、GI・宝塚記念でも2着に好走したノーネイネヴァーの産駒は、10頭がエントリー。中でも注目を集めそうなのは、G1オーストラリアンC勝ち馬ハーレムの半妹となる上場番号151番の牝馬だろう。

 今年の1歳が初年度産駒となる新種牡馬にも、ビッグネームが多い。連覇を果たしたG1チャンピオンSを含めて4つのG1を制したクラックスマン(上場頭数10頭)、18年の欧州年度代表馬ロアリングライオン(上場頭数8頭)、18年のG1英2000ギニーを制し、日本産馬として初の英国クラシック優勝馬となったサクソンウォリアー(上頭数8頭)、G1ガネー賞を制した他、G1凱旋門賞で2着と3着になっているクロスオブスターズ(上場頭数8頭)、17年の欧州チャンピオンスプリンター・ハリーエンジェル(上場頭数6頭)などが、果たしてどんなタイプの産駒を出しているか、非常に興味深い。 

 なかでも、3.1/4馬身差で快勝したG1インターナショナルSなど4つのG1を制したロアリングライオンは、19年8月にシャトル先のニュージーランドで急逝。たった一世代しか産駒がいないだけに、希少価値がある。中でも、母ジオフラがG1ファルマスS勝ち馬という上場番号13番の牡馬を巡っての争奪戦は、激しいものとなりそうだ。

 今年のドーヴィル8月1歳セールにおいて、異色といってよい上場馬が、上場番号19番の牝馬だ。この馬、英国産のロードカナロア産駒なのである。英国と米国で競走生活を送り、デラウェアの芝のG3ロバートGディックメモリアルを制した牝馬ギルティトゥエルヴが日本に渡り、19年の春にロードカナロアを交配されて受胎。20年春に英国で産んだのが、今回の上場馬だ。ヨーロッパのマーケットがロードカナロア産駒をどのように評価するか、興味深いところである。

 筆者自身、8月のドーヴィルセールは一昨年まで、30年以上にわたってほとんど皆勤だったのだが、昨年はセールの日程変更があった上に、欧州内の移動が著しく制限されたこともあって、断腸の思いで参加を諦めることになった。

 それだけに、今年はぜひとも現場に出向きたいのだが、問題は現在も解かれていない渡航制限だ。この原稿を書いている7月6日の段階で、出発前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書、もしくは、ワクチン接種完了証明書があれば、隔離検疫を行うことなく日本人はフランスに入国することが出来る。すなわち、行くことは出来るのだ。

 その一方で、フランスから日本に帰国した際には、2週間の隔離期間を過ごさなくてはならず、その間は公共交通機関を使用できないという規定がある。昨年の秋以降、筆者はこの帰国後の隔離を3回経験しているが、これがなかなかに厄介なものだ。8月半ばまでに、これが緩和されることを期待しているのだが………。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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