ノーザンファーム生産馬の高い人気を改めて思い知らされる結果に
7月12日、13日の両日にわたり、苫小牧市のノーザホースパークにて開催されたセレクトセールは、すでに各報道で伝えられているように空前の好成績で推移し、コロナ禍にありながらも、このセールがいかに内外の関係者に注目され、評価されているのかを改めて見せつけられた思いである。
今年もまた会場は、新型コロナ対策のため、入場が厳しく制限されていた。昨年同様に、取材は「各社1人」に限定され、会場内の落札場面や外での立ち写真撮影は、すべて主催者の用意したオフィシャルカメラマンのみ撮影が認められていた。したがって、各媒体は、目当ての当該馬の落札場面や立ち写真は、主催者HPからのダウンロードで対応するより他なかった。
一昨年までは、億を超える超高額馬が落札されると、外の撮影場所にはざっと数十人のカメラマンがひしめき合うようにして場所取りをしながら立ち写真を撮っていたものだが、そんな“密”になるような場面をなくすために、全てオフィシャルカメラマンが代行することになったのだ。
そのために仕事にあぶれたカメラマンが多数出ることになったが、コロナ禍であろうとなかろうと、ひょっとしたら来年以降も、この形式が定着するのではないかという気がしている。
一昨年までは、オレンジ色のビブスを着用した取材陣が高額馬出現のたびに会場内からどっと飛び出してきて、撮影場所に大集合するため、しばしば通行の妨げになっていたのも事実だ。人馬の通り道にもなっているスペースを占拠するような形で立ち写真撮影が行われるため、おそらく苦情も出ていたに違いないが、昨年からはその隘路が、取材陣激減により、かなり楽に通れるようになったのは間違いなく、動線としてはひじょうにスムーズな流れになったと言える。
さて、会場内や立ち写真撮影場所、パレードリンクと撮影禁止エリアが多かったために、私は昨年と同じく、パレードリンクに上場馬が進入する手前にあるプレリンクで終日撮影することにした。自由に撮影できる場所はそこしかなく、カメラを構えていれば全上場馬が周回してくる。
ただ、初日は早朝から厚い雲が垂れ込め、終始空から細かな雨が降り続けるあいにくのコンディションであった。予報は曇りだったが、霧雨が時には小雨くらいになり、また霧雨に戻り、ずっと体を濡らしてくれた。午後遅くなってからようやく雨は上がってくれたものの、着込んでいなければ肌寒く感じるほどであった。
初日の1歳セッションには、ディープインパクト産駒が4頭上場予定で、番号は1番、52番、130番、248番である。つまり、最初と最後にディープの仔が登場するわけで、途中で引き上げることはできなかった。
なんといっても、最後の世代になるディープインパクト産駒4頭の注目度は極めて高く、しかもいきなり最初に登場するとあって、異様な雰囲気の中、午前10時よりセリが開始された。
![生産地便り](https://cdn.netkeiba.com/img.news/style/netkeiba.ja/image/column/tanaka/210714_01.JPG)
▲ゴーマギーゴーの2020▼
1番ゴーマギーゴーの2020は、周知の通り3億円(税抜)で長谷川祐司氏が落札。その後も、2番リュラの2020(牡、父モーリス)が9200万円で阿部雅英氏、3番ホットチャチャの2020(牝、ロードカナロア)が1億6000万円で長谷川祐司氏、4番サンタフェチーフの2020(牡、父リアルスティール)が1億6000万円で藤田晋氏、5番ワイルドラズベリーの2020(牝、エピファネイア)が7800万円で藤田晋氏、というように、セリ開始直後より高額落札馬が続出した。
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ホットチャチャの2020
初日だけで1億円超の落札馬が計28頭も誕生した。史上二番目の売り上げを記録した昨年のセレクトセール1歳セッションでも、1億円超は18頭であった。それから今年一気に10頭も増えたことになる。
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スイープトウショウの2020
初日は242頭中226頭が落札され、売却率は93.4%、総売り上げが116億3300万円(税抜)という史上最高の数字を残した。248番スイープトウショウの2020(牡、ディープインパクト最後の上場馬)も一声の2億円で池田豊治氏が落札し、終わってみれば、ディープ産駒のみならず、ノーザンファーム生産馬の高い人気を改めて思い知らされる結果となった。
午前10時より始まったセリが終了したのは午後7時をだいぶ回った頃のこと。高い売却率が示すように多くの馬が活発な競り合いとなったことから、休憩など挟まずにノンストップでセリが続けられたが、この時間になってしまった。
毎年のことだが、つくづくセレクトセールは体力勝負だと痛感させられた。次週もう一度、今度は翌日の当歳セッションについて書かせて頂く。