上場申し込みが相次いだことで4日間から5日間に日程変更
来る8月23日〜27日の5日間にわたり、国内最大の規模を誇る「サマーセール」が新ひだか町静内の北海道市場にて開催される予定だ。当初4日間の予定だったが、上場申し込みが相次ぎ、ついに1400頭を超えたことから、主催者の日高軽種馬農協は急遽日程を一日増やし、5日間に変更することになった。名簿上では1413頭に上る。
日程が5日間になった例は過去何度もある。昨年はコロナ禍の影響により、7月に予定されていたセレクションセールが1か月延期されたため、サマーセールの日程と合体させる措置が取られた。それにより、初日にセレクションセール、2日目〜5日目にサマーセールという変則的な日程になった、時期は今年と同じく8月下旬である。
したがって、昨年は結果的に今年と同じ全5日間の日程になったのだが、それはあくまでも2つのセールが合わさった結果であり、本来は4日間の日程での開催を予定していたものだ。因みに昨年のサマーセールは、初日にセレクションセールが開催されたことから便宜上301番から始まっていて、1448番までの記載である。実質的に名簿上では1148頭の上場予定であった。一昨年は1270番までの記載である。
こうしてみると、サマーセール単独出1413頭の上場申し込みというのは過去最多なのではなかろうか。
一方で、事前に公表されている欠場馬は、8月11日現在で32頭。近年、売却率と平均価格の上昇に伴い、相対的に欠場馬は減少傾向にあるので、今後怪我や疾病等でもう少し数は増えるであろうと推測されるが、それでもサマーセール始まって以来、最多の上場頭数になりそうな気配が濃厚だ。過去20年間で最も上場頭数の多かったのは2016年の1267頭だが、この年でも名簿上では1366番で終わっていた。今年はおそらく1300頭を超える上場馬になるであろうと思われる。
「できれば4日間でこなせる程度の申し込み頭数に収めたい」のが主催者である日高軽種馬農協の意向である。以前より、木村貢組合長は「上場馬がサマーセールとセプテンバーセール双方に無理なく振り分けられるようになると、セリ日程が組みやすい」と明言していた。サマーセール4日間、セプテンバーセール3日間というのが主催者の描く理想的な日程のようである。
しかし、9月21日から開催を予定していたセプテンバーセールは、上場申し込みが530頭にとどまったことから、日程を1日短縮し2日間の開催とすることが発表された。
ちなみに昨年のセプテンバーセールは643頭の上場申し込みがあった。今年はそれから113頭も減少したことになる。
この減少分が、そっくりサマーセールへ前倒しされた形であろう。ともあれ、1413頭もの上場申し込みは、おそらく想定以上の多頭数に違いなく、主催者としても頭の痛い部分ではある。
ただ、生産者心理としては、いつの時代になっても、「できるだけ早く1歳馬を売却したい」のが本音だ。ある生産者は「世代で最も出来の良い1歳馬は、セレクションセール(セレクトセールという選択肢もある)に申し込みたい。そして、残る複数の販売予定馬たちも、可能な限り、サマーセールで売却したい。セプテンバーセール、オータムセールまでは想定していない」と話す。
理由は様々あるが、ひとつには、その年の種付け料が、受胎確認後支払いの場合、多くが9月末までの期限になっていること。そのためにはセプテンバーセールだと入金が遅くなり、9月末の支払いが難しくなることが挙げられる。
さらに、8月〜9月というと、当歳馬の離乳時期とも重なってくるので、なるべく早く1歳馬の行き先を決め、移動させて、離乳した当歳馬のために馬房を空けておきたい、という事情もある。
だが、最も大きな理由は、価格である。セレクションセールは選抜市場なので平均価格が高くなるのは当然としても、サマーセール以降、セプテンバーセール、オータムセールと、落札馬の平均価格は徐々に下降する。誰だって、1円でも高く売りたいのが本音であり、それには、なるべく時期の早い市場に上場するのがベストなのである。
サマーセール以降は平均価格が下落する傾向にある
昨年の場合、サマーセールは693万5600円、セプテンバーセールは490万2927円、オータムセールは345万1890円(いずれも税込み)がそれぞれ平均価格であった。ざっくり計算すると、サマーセールを100とした場合、セプテンバーセールで3割減、オータムセールになると半分になる計算である。
こうした生産者のそれぞれの思いが凝縮した結果が、1413頭の上場頭数になったとも言える。昨年のサマーセールでは1072頭が上場され、825頭が落札、総額で57億2187万円を売り上げた。今年はどんな結果になるだろうか。