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【関屋記念予想】夏の高速マイル重賞 今年は例年より時計を要するかも

  • 2021年08月14日(土) 18時00分

血統的に重馬場もこなせる3歳牝馬


 最近10年の勝ちタイム平均は1分32秒25(前半46秒46-後半45秒79)に達している。レースの前半1000m通過平均は「57秒98」。上がり3ハロン平均は「34秒27」。

 さすがに今年は時計勝負ではないが、流れの特徴は、高速のマイル戦ながら、平均すると全体バランスは後半800mの方が速いこと。前半1000m通過平均も57秒98なら決して速くない。

 外回りは最後の直線が約660mもあり、差し=追い込みタイプも存分に力を出し切れるが、それはレース展開(流れ)とは関係なく、自身が直線600mで33秒台のような最速スパートができたかどうかによることが多い。逆に、日本一の直線の長さはあっても、逃げ=先行タイプが不利という流れではないから毎年のように先行馬も好走する。

 馬場が重い(差しにくい)からといって、いつもより強気な先行策に出る馬はいないとみれば、人気の3歳牝馬ソングライン(父キズナ)の課題は、いつもより時計を要する馬場を自身が克服できるかになる。NHKマイルCを直線で早めに先頭に立ち1分31秒6でハナ差2着。勝ったシュネルマイスターは、次走の安田記念を小差3着。今回、自身の負担重量は55キロから51キロになる。

 父キズナは、仏2400mのニエル賞を制し、同じく重馬場だった凱旋門賞も4着。不良馬場の大阪杯を小差2着。道悪をこなし、その半姉ファレノプシスも重をこなした。

 ソングラインの能力の源はサンデーサイレンス「3×4」の血統背景と、渋馬場を含む欧州の8F、1600mのグループレースを6勝もした4代母ソニックレディ(父ヌレイエフ)一族の粘り強いスピードにある。

 ソニックレディ直仔のソニンク(父マキャヴェリアン)は輸入牝馬。日本で発展した一族には、マキャヴェリアンが関係して、ノーザンリバーなどタフなダート功者が多い。

 芝での活躍馬はロジユニヴァース(祖母ソニンク)が不良馬場の2009年日本ダービーを制し、ディアドラ(祖母ソニンク)が重馬場の2017年秋華賞を勝つなど、パワー勝負OKの産駒が珍しくない。ソングライン(3代母ソニンク)の理想は良馬場としても、このファミリーなら非力ではない。底力で渋馬場を乗り切る可能性が高い。

 人気のソングラインから入るので、2着候補はカラテ、上がり馬グランデマーレに絞り、3着を考えたいが、穴馬にはラセットを加えたい。

「小倉記念」の穴馬は関東馬ヒュミドール(父オルフェーヴル)。父母両系ともにスピード系ではなく、時計はかかったほうがいい。距離も2000m前後の方が合うと思える。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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