活躍馬が多く出ているダイワメジャーとブラッシンググルームの組み合わせ
先週の血統ピックアップ
・8/29 新潟2歳S(GIII・新潟・芝1600m)
中団のインにつけたセリフォスが最内を伸びて突き抜けました。勝ちタイムの1分33秒8は、同距離で行われた五頭連峰特別(2勝クラス)との比較で考えると優秀です。五頭連峰特別は2015年から新潟2歳Sの日に行われていますが、勝ちタイムが新潟2歳Sより劣ったことは一度もありません。
そして、平均タイム差は約0秒6。今年の五頭連峰特別は1分33秒7だったので、新潟2歳Sとのタイム差はわずか0秒1。なおかつ、800m通過は新潟2歳Sに比べて1秒1速い47秒4だったので、実質的には新潟2歳Sのほうがハイレベルでした。新潟2歳Sはダイワメジャー産駒と相性が良く、これで[2-2-1-9]という成績です。同産駒は2歳戦全般で強さを発揮する種牡馬で、なおかつマイル戦に強いため、当レースとの相性も良好です。
母シーフロントはフランスで走り、重賞勝ちこそないものの、ジャンロマネ賞(仏G1・芝2000m)で4着という成績があります。母の父ルアーヴルは仏ダービー馬。種牡馬としてアヴニールセルタン、ラクレソニエール(いずれも仏二冠牝馬)、プールヴィル(フィリーズレビュー)といった活躍馬を出しています。異系の血で構成されながら日本の高速馬場にも適性があるため、母の父としても優秀で、JRAでデビューしたわずか10頭からデゼル(阪神牝馬S)、セリフォスと2頭の重賞勝ち馬が出ています。
ルアーヴルの3代父ブラッシンググルームは、ダイワメジャーと有名なニックスの関係にあり、この組み合わせからメジャーエンブレム(阪神JF、NHKマイルC)、コパノリチャード(高松宮記念)、ロジチャリス(ダービー卿CT)をはじめ多くの活躍馬が出ています。
父はこれまでにアドマイヤマーズという2歳牡馬チャンピオンを出していますが、本馬はそれに劣らぬ活躍を期待したい素質馬です。
・8/29 キーンランドC(GIII・札幌・芝1200m)
好位追走のレイハリアがゴール前の追い比べから抜け出し、外から飛んできたエイティーンガールをアタマ差抑えて重賞連勝を果たしました。初勝利を挙げるまで4戦を要したのですが、3月に未勝利戦を勝ち上がってからこれで4連勝です。
前走の葵Sは17頭立ての13番人気でしたが、今回は3番人気。先週までに3歳牝馬が古馬に伍して重賞を3勝しており、前走負かしたヨカヨカは北九州記念を勝利。そうした背景もあって今回は上位人気の一角に推されていました。
父ロードカナロアは今年平地重賞8勝目。重賞勝利数1位のディープインパクトは16勝なので半分に過ぎませんが、全種牡馬のなかで第2位という優秀な成績で、5勝で並んでいる第3位のハーツクライとキズナを3勝リードしています。
昨年まではアーモンドアイやサートゥルナーリアなどの活躍で2000m以上の重賞をコンスタントに勝っていたのですが、両馬とも引退したため、今年に入って勝った重賞はすべて1600m以下です。
今年、芝1200m以下で行われたJRAの重賞10レースのうち、4レースをロードカナロア産駒が勝っています。
本馬は母方にサンデーサイレンスとトニービンを併せ持ちますが、このパターンのロードカナロア産駒は成績優秀。計5頭の重賞勝ち馬が出ています。
今週の血統注目馬は?
・9/5 筑後川特別(2勝クラス・小倉・芝1800m)
小倉芝1800mと相性のいい種牡馬はドゥラメンテ。まだ出走回数は10回と少ないのですが、3勝、2着1回、3着1回という好成績。勝率30%、連対率40%、複勝率50%という数字は優秀です。
当レースにはジュンブルースカイが登録しています。前走の信濃川特別は2番人気で9着と敗れましたが、前崩れの展開に巻き込まれて伸びを欠きました。
前々走のフィリピントロフィーは2着と健闘。このレースは今回と同じ小倉芝1800mでした。コース適性の高さに期待できます。
今週の血統Tips
新種牡馬ドレフォンは先週終了時点でJRA6勝。その内訳は芝4勝、ダート2勝。芝の勝ち星が優っているのは、ダートの番組が少ないことが原因です。
連対率を比較すると芝13.6%、ダート33.3%なので、ダートの番組が増える秋以降、成績が向上していくことは間違いなさそうです。
現役時代に米チャンピオンスプリンターのタイトルを獲得しましたが、テンから飛ばしていく快速型の産駒は意外に少なく、現状、1700〜1800mの成績が良好です。本質的にはダート向きですが、母が芝のスタミナタイプである場合、芝中距離向きの馬が出ています。
札幌2歳Sに登録のあるジオグリフとユキノオウジサマがそうです。
両馬とも芝1800mの新馬戦を勝ちました。ジオグリフは6月26日に東京芝1800mの新馬戦を勝ちました。勝ちタイム1分48秒2は、東京芝1800mの新馬戦のなかで歴代第2位。ラスト5ハロン「57秒3」は、芝1800mの新馬戦史上最速です。
重要なのは後者で、これまでの最高記録だった58秒2を0秒9も上回りました。芝1800mの新馬戦でラスト5ハロンが59秒未満、という馬は年間2〜3頭しかいません。スローペースで上がり3ハロンが33秒前後、という馬は珍しくありませんが、いかにスローペースであってもラスト5ハロンが59秒を切る、というのは高い心肺機能のサポートがないと困難です。
それは地力と言い換えてもいいでしょう。芝1800mの新馬戦史上、58秒台前半で上がった馬は、ダノンプレミアム、ブルーフラッシュ、ラスマドレスの3頭しかいません。ダノンプレミアムは朝日杯を勝って2歳牡馬チャンピオンとなり、ブルーフラッシュはその後あまり出世しなかったものの、2着のショウナンパンドラはのちに秋華賞とジャパンCを制覇しました。
ラスマドレスは先週の小倉で勝ち上がったばかりですが、高い資質に恵まれていると考えられます。
これらを大きく上回る「57秒3」を出したジオグリフはおもしろい存在といえるでしょう。軽いノド鳴りがあるので、それが悪化しなければ楽しみです。