高い中山適性を感じさせるアサマノイタズラ 母父キングヘイローは今後も要注目
先週の血統ピックアップ
・9/20 朝日杯セントライト記念(GII・中山・芝2200m)
後方を追走したアサマノイタズラが直線で外から伸び、先に抜け出したソーヴァリアントをクビ差とらえました。今回、初めて手綱を取った田辺騎手がいきなり結果を出しました。これが重賞初制覇です。
父ヴィクトワールピサは現役時代にドバイワールドC、有馬記念、皐月賞を勝った名馬で、種牡馬としては桜花賞馬ジュエラーを筆頭に9頭のグレード制重賞優勝馬を出しています(ダートグレード競走を勝ったミッシングリンク、ドイツのGIIIを勝ったウォーリングステイツを含む)。どちらかといえば平坦コースを得意とし、急坂の中山は向いているわけではありませんが、アサマノイタズラ自身は馬力のあるオペラハウスが入る影響か、スプリングSでも2着と好走しており、高い中山適性を感じさせます。
「母の父キングヘイロー」の優秀さは当欄でもたびたび指摘していますが、本馬の他に、ディープボンド、ジョーストリクトリ、キングズガード、ピクシーナイト、ヴァイスメテオール、メイショウムラクモが重賞を制覇しています。2歳の注目株イクイノックスも母の父にキングヘイローを持っています。今後も注目の配合パターンといえるでしょう。
・9/19 ローズS(GII・中京・芝2000m)
中団を追走したアンドヴァラナウトが直線で鮮やかに抜け出しました。1勝クラスを勝ったばかりで4番人気。しかし、持って生まれた素質がここにきて開花してきた感があり、格上馬を問題にしませんでした。
母グルヴェイグはマーメイドSの勝ち馬で、その兄弟にはルーラーシップ(クイーンエリザベス二世C)やアドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯2回)といった名馬がいます。2代母エアグルーヴは年度代表馬、3代母ダイナカールはオークス馬。日本を代表する名牝系に属しています。このファミリーとキングカメハメハは相性抜群で、二冠馬ドゥラメンテ、前出のルーラーシップなど多くの活躍馬が出ています。アンドヴァラナウトとドゥラメンテは8分の7同血ときわめて血統構成が似ています(父が同じで、母同士が4分の3同血)。このファミリーは完成が遅めなので、今回は通過点で、これからもっと強くなるはずです。
今週の血統注目馬は?
・9/26 知多特別(2勝クラス・中京・芝1200m)
中京芝1200mと相性のいい種牡馬はロードカナロア。連対率28.2%は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した44頭の種牡馬のなかで第1位。このレースにはアメージングサン、フォドラの2頭が登録しています。後者は昇級緒戦だった前走、14着と大敗しましたが、ハイペースに巻き込まれて末を失ったことが敗因です。2歳時に中京2歳S(OP)で2着となったようにコース適性は高く、ひと息入れて立て直した今回は期待できます。
今週の血統Tips
9月18日、豪ロイヤルランドウィック競馬場で行われたジョージメインS(G1・芝1600m)は、中団を追走したニュージーランド産の牝馬ベリーエレガント(Verry Elleegant)が最内を突いて差し切りました。同馬はこれで9つめのG1制覇となります。配合的に注目したいのはコートヘルハウス(Cotehele House)4×4という牝馬クロス。コートヘルハウスは名馬デーンウインやその全弟コマンズの母として有名ですが、ベリーエレガントにはこの2頭の血は入っていません。自身と父ゼッド(Zed)がこの名繁殖牝馬の直系子孫です。コートヘルハウスの母エイトカラット(Eight Carat)は、オクタゴナル(Octagonal)をはじめ5頭のG1馬を出したニュージーランド史上最高の繁殖牝馬の一頭。エイトカラット-コートヘルハウスのラインは、尋常でない活力を秘めています。代を経てクロスさせてもこうした女傑を誕生させるのですから、その影響力は絶大です。