先週、レースでは初めて騎乗したグッドアズゴールドですが、実はデビュー前から小牧騎手が調教をつけていた馬。「走ってきそうやな」と楽しみにしていたそうですが、いざ競馬でコンビを組んでみると…。はたして小牧騎手が頭を抱えたグッドアズゴールドの様子とは!? また、最近ファンによく声を掛けられるという小牧騎手。ファンとのやり取りのなかで芽生えた、ある思いを明かしてくれました。(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
ファンに声を掛けられるたびに思う「頑張らなアカン!」
──先週は久々に秋の新潟に参戦。
小牧 土日で1頭ずつやったけど、乗りに行けてよかったです。まぁ寒かったけどね(苦笑)。ただ、新潟を楽しむ余裕はなくて、日曜日の9レースが14時5分の発走で、15時10分の飛行機で帰ったからね。
──めっちゃ強行スケジュール(笑)。
小牧 すごいやろ(笑)。でもね、15時10分の飛行機を逃すと、そのあと18時まで飛行機がないんやわ。
──なるほど。小牧さん、時間を無駄にしたくないタイプですもんね。
小牧 そうやねん。我ながらすごいと思ったわ。
──では、さっそくレースについてですが、グッドアズゴールド(10月16日・新潟9R・3歳上1勝クラス)は、レースでの騎乗は初めてでしたが、デビュー前から小牧さんが調教をつけていた馬ですよね。
小牧 そうそう。調教にはデビュー前から乗っていて、走ってきそうやなと思っててん。だから今回も楽しみにしてたんやけど…(18着)。なんか上にばっかり飛んでてね。気持ちの面でも、返し馬からイレ込んでしまって。ホントに楽しみにしてたんやけどなぁ。
──昨年3月のデビュー戦では、センスを感じさせる走りで初戦勝ちした馬ですものね。
小牧 うん。今回はゲートの中からイラついていて、案の定、出遅れてしまった。それも敗因のひとつかなと思うけど、なんせ馬が行こうとしない。返し馬では、口が利かないくらいに走る気を見せているのに、レースになったらひとつも行かんねん。で、レースが終わって帰るときは、また走る気を見せ始める(苦笑)。
──返し馬と帰るときだけ走る気になる(苦笑)。難しい馬ですねぇ。
小牧 ようわからんねぇ。返し馬であれだけ行きたがる馬が、レースでは全然ついていけないなんて…。で、ゴールしたあとに止めようとしたら、また行き出すんやで。レースで乗るのは初めてやったけど、改めて競馬は走ってみなわからんなと思った。
──レース後にそれだけ走るということは、ある意味、余力十分。
小牧 普段は楽しみやなと思えるくらい走るんやから、余力があるのは間違いない。難しいねぇ、馬は。素質はあるだけに、ゲートも含めてどうにかしたいと思ってるよ。
──さて、最近は質問に混じって、「小牧騎手、まだまだ頑張ってください!」「辞めないでください!」など、応援メッセージがたくさん届いています。ファンの方も心配されているんですね。
小牧 ありがたいね。今日も朝早くから京都の日帰り温泉に行ってたんやけどね。そこに行くと、競馬ファンの人がようけいて、さっきも「太論、読んでます。頑張ってください」って声を掛けられたわ。今日だけじゃなく、いつも「頑張ってください」って声を掛けてくれる人がいる。その度に、改めて「頑張らなアカン」と思うんやけどね。
──直接的にしろ間接的にしろ、そういうファンの声はうれしいものですよね。
小牧 もちろん。最近よう声を掛けられるから、まだまだ僕も捨てたもんじゃないなと思ったり(笑)。「まだ辞めませんよ」って、いつも言うんやけどね。まぁコロナ次第やけど、来年あたり『太と語ろう会』でもやりましょうや。
──いいですねぇ。ファンの方たちと、まったり語る会。
小牧 そうそう。そういうファンの声を直接聞いていると、ファンの人たちのなかには、僕が今、どういう心境で仕事をしているのかとか、僕にいろいろ聞いてみたい人もいるんじゃないかっていう気がしてね。だから、そういうことをね、ゆっくりと話をする機会があってもいいなぁと思って。なかなか文字では伝え切れんこともあるからね。まぁたくさん人を集めてのイベントは難しいかもしれんけど。
──いつという約束はまだできませんけど、ぜひ近いうちに実現させましょう。
小牧 うん。僕もぜひやってみたい。まだ辞めるわけではないけど、現役のうちにね、ファンの人に楽しんでもらえるような企画をいろいろやってみたいなと思ってんねん。ほかのジョッキーがなかなかできんようなことも、たぶん僕はできるから(笑)。なんかおもしろいこと、考えていきましょうや。