「モーギアナハードル」を皮切りに本格化する欧州の障害シーズン
過去3年の勝ち馬を含め13頭のエントリー
競馬発祥の地・英国では、先月23日(土曜日)にドンカスターで行われた開催をもって、2021年の芝の平地シーズンが終了。今週後半の12日(金曜日)から14日(日曜日)まで、チェルトナム競馬場でノヴェンバー開催が行われるなど、障害のシーズンが本格化している。
そんな中、今週末に組まれたカードの中でも特に見逃せないのが、14日(日曜日)に愛国のパンチェスタウンで行われるG1モーギアナハードル(芝16F110y)だ。
ハードル2マイル路線のG1としては、シーズンで最も早い時期に組まれているのがモーギアナハードルで、近年の勝ち馬には、ライムストーンラッド、ハリケーンフライ、フォーヒーンといった、それぞれ一時代を築いた名障害馬たちの名前が並んでいる。
今年のモーギアナハードルには、一次登録の段階で、このレースの過去3年の勝ち馬を含めて、13頭がエントリーを行っている。
昨年に続く連覇を狙っての出走となるのが、ゴードン・エリオット厩舎のアバカダブラ(セン7、父ダヴィドフ)だ。
仏国産馬で、ナショナルハントフラットを4戦した後、19/20年シーズンにハードルデビュー。このシーズンは5戦し、レパーズタウンのG1フューチャーチャンピオンズノーヴィスハードル(芝16F)を含む3勝をあげた他、チェルトナムフェスティヴァルのG1シュプリームノーヴィスハードル(芝16F87y)で2着に入り、ハードル2マイル路線の新興勢力として名乗りを上げた。
20/21年シーズンの2戦目となったのが、昨年のこのレースで、オッズ1.91倍の圧倒的1番人気に推されていたサンロワ(セン6、父コースタルパス)との接戦にクビ差先着して優勝。ハードル2シーズン目にしてメジャーなタイトルを手にすることになった。
その後は、G1マセソンハードル(芝16F)5着、G1愛チャンピオンハードル(芝16F)2着と連敗。管理調教師ゴードン・エリオットが不祥事を起こして資格停止処分を受けたため、デニス・フォスター厩舎に転厩して迎えたチェルトナムフェスティヴァルのG1チャンピオンハードル(芝16F87y)は、第3障害で飛越に失敗。入障後10戦目にして初めての落馬を経験している。
続くエイントリーのG1エイントリーハードル(芝20F)を制し2度目のG1制覇後、昨シーズン最終戦となったパンチェスタウンのG1チャンピオンハードル(芝16F)は4着に終わった。
エリオット師の半年間にわたった謹慎が9月に満了したため、ここは再びエリオット厩舎に戻っての参戦となっている。
一方、このレースの19年の勝ち馬が、ウイリー・マリンズ厩舎のサルディア(セン7、父ソルジャーホロウ)だ。
仏国産馬で、祖国を拠点に平地で9戦2勝の成績を残した後、18年1月にマリンズ厩舎に転厩して、ハードルを跳び始めた。このシーズンの最終戦となったパンチェスタウンのG1チャンピオン4歳ハードル(芝16F)を制し、G1初制覇を達成。19/20年シーズンの2戦目となったのがG1モーギアナハードルで、ここを制して通算2度目のG1制覇を果たしている。故障で1年以上の休養を挟んだ後、20年12月に戦線復帰するも、このシーズンは4戦して未勝利に終わっている。21/22年シーズンは、6月に入ると早くも始動。4戦目となったのが10月3日にティペラリーで行われたホース&ジョッキーホテルハードル(芝16F)で、ここを制して約1年11カ月ぶりの重賞制覇を果たしての参戦となっている。
さらに、このレースの18年の勝ち馬が、サルディアと同厩のシャルジャー(セン8、父ドクターディーノ)だ。この馬も仏国産で、同馬も祖国を拠点に平地で8戦1勝の成績を残した後、17/18年シーズンからマリンズ厩舎に移り、ハードルを跳び始めた。1シーズン目は成績があがらなかったが、2シーズン目となった18/19年シーズンの6戦目となったG1モーギアナハードルを制し、G1で重賞初制覇。続くレパーズタウンのG1ライアンエアハードル(芝16F)も制し、2マイル路線のトップハードラーとして台頭することになった。
その後、19年・20年とレパーズタウンのG1マセソンハードル(芝16F)を連覇。さらに20年・21年と、チェルトナムフェスティヴァルのG1チャンピオンハードル(芝16F110y)で2年連続2着に入っている。過去3年の勝ち馬以外にも、19年のこのレースで2着となっているベテランのプティムーシュワー(セン10、父アルナミクス)、昨季の最終戦となったパンチェスタウンのG1メアズチャンピオンハードル(芝20F)を7馬身差で快勝したストーミーアイルランド(牝7、父モティヴェイター)らも登録しているモーギアナハードルに、ぜひご注目いただきたい。