▲東京大賞典に出走するミューチャリー。16年振りの地方馬の勝利を目指します(撮影:高橋華代子)
12月29日に大井競馬場で実施する東京大賞典(G1、2000m)が近づいてきました。前走のJBCクラシック(金沢)では、創設21年で初めて地方所属馬が制するという偉業を達成したミューチャリー(船橋・矢野義幸厩舎)が、満を持して参戦してきます。
前走後はこの東京大賞典を目標に、短期でリフレッシュ放牧に出て、帰厩後も順調に仕上げられてきたそうです。
「完成形に来ていて、今とても充実していますね。あくまでも(JpnIレースを)一回勝たせて頂いただけでまだ頂上に立っている訳ではないし、上に立ったと思ったら、あとは下がるだけだと思います。あくまでもチャレンジャーという気持ちに変わりはありません」(矢野調教師)。
前回は吉原寛人騎手が手綱を取りましたが、今回は再びデビュー戦からコンビを組む御神本訓史騎手が騎乗します。
東京大賞典は2005年にアジュディミツオーが連覇して以降、地方所属馬の勝利はありません。ミューチャリーをはじめとした地方勢に16年振りの栄冠をもたらして欲しいです。
そんなミューチャリーの大好物は、矢野調教師が自ら作る天然のホワイトクローバー(シロツメクサ)。栄養価も高く、ミューチャリーをはじめ所属馬たちもすごく喜んで食べるそうです。
▲矢野調教師特製の愛情たっぷりホワイトクローバーを、うれしそうに食べるミューチャリー。ボール遊びもお気に入り(撮影:高橋華代子)
遡ると、JBCスプリントを制したフジノウェーブを手掛けた元調教師の高橋三郎さんからのアドバイスがあり、河川敷などで青草を刈って管理馬にあげたことが始まりだったそうです。
そこから矢野調教師も試行錯誤しながら行き着いたのが、船橋競馬場から車で1時間くらいの場所に畑を借りて、種をまいて、刈って、所属馬たちに食べさせてあげるということ。季節にもよるそうですが、毎日または2日に1回は往復2時間の運転と1時間の収穫作業などを1人で行うというハードな日々。
ちょうど取材におじゃました日は、収穫してきたばかりのホワイトクローバーがあり、「食べさせてあげて」と矢野調教師が森久保調教師補佐に伝えると、まだ袋から取り出す前にもかかわらず、待ち切れないようなミューチャリーの姿がありました。そこからは、顔も上げずにガツガツと。食べている姿を見ると、相当美味しいのだろうなぁと、味見をしてみたくなりました(笑)。
そんな至福の時間も過ごしながら、ミューチャリーが暮れの大一番に臨みます。