東京大賞典4連覇を達成したミルコ騎手とオメガパフューム(撮影:高橋正和)
新年最初のコラムは、年末に行われた東京大賞典の回顧です。オメガパフュームとのコンビで、前人未到の4連覇を達成。ファンの皆さんの目の前で、そして来日中の弟・クリスチャン騎手も見守る中での勝利は、格別なものとなりました。改めて、レースをじっくり振り返ります!
(取材・構成=森カオル)
弟の目の前でGIを勝てて最高でした!
──明けましておめでとうございます!
ミルコ おめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。
──こちらこそ、よろしくお願いいたします。ちょっと時間が経ってしまいましたが、東京大賞典では前人未到の4連覇を達成。すごいことをやってのけましたね。
ミルコ いやぁ、すごいですね、ホントに。素晴らしい馬です。4連覇なんて、なかなかないでしょ? 信じられない!
──生涯、破られることのない記録といってもいいかもしれません。さっそくレースを振り返っていきたいのですが、前走のJBCに比べるとゲートからスムーズで。
ミルコ まぁ出るには出たけど、やっぱり二の脚が遅いね。金沢(JBCクラシック)は内枠だったから目立っただけで、今回も含めていつもあんな感じです。
──スタート後は外の馬たちをひと通り行かせて、じっくり冷静に外目に持ち出しましたね。
ミルコ はい。スタートしてちょっと促して、1コーナー、2コーナーも外目でスムーズでした。道中の手応えもずーっとよかった。御神本(訓史騎手)さんが乗っていたミューチャリー(4着)には前回のJBCで負けていたから(JBCでは吉原寛人騎手が騎乗)、今回はあの馬を見ながら競馬をしようと思っていました。ペースが遅かったから、ちょっと早めに動いてついていったんだけど、相手の手応えもすごく楽で。
──3コーナーを回る時点で、ピッタリ外から並びかけて。
ミルコ あそこで動くのは、オメガにしてはちょっと珍しいパターンでしたね。でも、それくらい御神本さんの手応えがよかった。だから、今回はちょっと早めにプレッシャーを掛けにいきました。御神本さん、ちょっとかわいそうだったね。馬が耳を絞って、手前を替えてコーナーを曲がらなかった。
──直線に向いたところで、大きく外に振られて。
ミルコ そう、4コーナーを出たところね。ミューチャリーが耳を絞って外に逃げちゃった。それで僕に当たって、オメガもバランスを崩して外に行っちゃって。
──あのときはさすがに焦ったのでは?
ミルコ 「ヤダー!」と思った(苦笑)。だいぶ距離をロスしたから、「これはもったいない!」と思いました。ただ、あんな不利があったのに、オメガがすごく頑張っていたから、僕も気持ちを切り替えて。ほかの馬を見ながら、ちょっとずつ内に戻りました。
──あれだけ外に弾かれても、気持ちが切れるようなことはなかったんですね。
ミルコ なかったです。最後まで気持ちは切れなかった。ホントにすごい馬。
──最後はクリンチャー(2着・川田将雅騎手)と追い比べ。
ミルコ 将雅が内からちょっとずつちょっとずつ伸びてきて、(松山)弘平(6着アナザートゥルース)も全然バテなくて、一瞬「負けるかも!?」と思ったけど、最後にちょっと出たところがゴールだった。本当はね、飛行機(ポーズ)したかったんだけど…。