▲デビュー2連勝を飾った角田大河騎手と師匠の石橋守調教師 (撮影:大恵陽子)
昨年に引き続き、新人騎手の人となりを履歴書風にご紹介する「わたしの履歴書」。2022年は10名の新人騎手が3月5日、6日にデビューし、角田大河騎手(栗東・石橋守厩舎所属)が初騎乗初勝利を挙げると、2戦目も勝って、デビュー2連勝を飾りました。
その初勝利のレースでは、かつてジョッキーベイビーズ東海地区予選でダービージョッキーの父・角田晃一調教師から怒られたあることが頭の片隅にあったとか。兄は昨年デビューの角田大和騎手という競馬一家に育った大河騎手の履歴書を見ていきましょう。
(取材・構成=大恵陽子)
【出身地】
滋賀県です。
【経歴】
同期の今村聖奈騎手や大久保友雅騎手が幼馴染で、みんなやんちゃで走り回ったりして、子供っぽかったと思います。
【運動歴・乗馬歴】
サッカー、陸上、水泳を習っていました。バスケットボールも得意で、今は兄より上手いと思います(笑)。
※兄・大和騎手は昨年の当コラムで「特技はバスケ」と話していました。
乗馬は小学2年生からやっていて、小学生の時は楽しく乗っていただけでしたが、中学1年生からジョッキーを目指して真剣に取り組みました。
ジョッキーベイビーズ東海地区代表決定戦では、父から「ムチで馬は動かない」と指導されていたにもかかわらず、片手で追いながらムチを何度も使って2着だったので、あとからレース映像を見た父から怒られました。両手でしっかり追いながらムチを打っていれば納得してくれたかもしれませんが、ムチに頼ってしまいました。
それ以来、常に頭の片隅にこのことがあって、デビュー戦ではほとんどムチを使わず、馬を真っ直ぐ走らせることを意識しました。
▲▼初騎乗初勝利を達成 (C)netkeiba.com
【志望動機】
父が元ジョッキーで、「何を仕事にするか」と考えた時にジョッキー以外の仕事が思いつきませんでした。父に「ジョッキーをやりたい」と伝えたら、「危ない職業だから、中途半端な考えならやめなさい。やるのであれば、本気でやりなさい」と言われました。その時はちょっと反抗期だったので「絶対に本気でやろう」と思いました。
それが中学1年生の時で、家で埃をかぶったDVDを漁って、父が乗っていたジャングルポケットやヒシミラクル、ノースフライトのレースを見ていました。家では静かな父が、大舞台で勝負強くて、全然違うなと感じました。
▲父の角田晃一元騎手(現調教師)、2001年ジャングルポケットでダービー制覇 (撮影:下野雄規)
【趣味・特技】
趣味はこれから見つけたいですが、美味しいご飯を食べるのが好きです。特に焼肉でハラミやモモなど赤身系が好きで、ご飯は食べないようにしています。
特技はスポーツです。中学校の体育の授業で卓球の試合をしたら、クラスの卓球部全員に勝てました。競馬学校の時には、内田博幸騎手がダービー騎乗騎手紹介式などでバク宙をやられているのがカッコイイと思い、ひたすら練習していたらできるようになりました。
【所属先】
栗東・石橋守厩舎
【所属先の紹介】
石橋先生はメリハリをしっかりつけてらして、「プライベートでは他人に迷惑をかけなければ何をしてもいいけど、仕事は仕事で一生懸命やりなさい」と言われています。
調教ではよく先生と併せ馬をしていて、騎乗技術について聞くとすぐに教えてくださいます。また、社会人としての行動、言葉づかい、身だしなみの3つは厳しく言われます。
石橋先生も初騎乗初勝利なのですが、調べてみたら先生が初勝利時の単勝歴代最高配当で、2位が僕。師弟で1位と2位なんです。
スタッフさんは優しくて面白くて、とても過ごしやすい厩舎です。
【自己PR】
技術もあるか分からないような僕をデビュー週からこうして乗せていただいたことに一番感謝しています。そして2連勝することができて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
2勝目のレースは、直線で1番人気の馬を見ていて、その馬を交わした瞬間に、同期の大久保くんの顔がズンッと目に入ってきて、「まだ1頭いた!」とゴールまで一生懸命追いました。
これまでマラソン大会で優勝したこともあったり、下半身強化には取り組んだつもりになっていましたが、初日に3頭乗り終えただけで足がパンパンになったので、下半身の筋力不足や技術の足りなさを痛感しました。下半身強化には今まで以上に取り組まないといけないことだと思っています。
デビュー週は話題にしていただきましたし、周りの方からも祝福していただき、恵まれた1週間だったなと思います。それに負けじと、すぐに切り替えて2週目からも気を引き締めて一生懸命頑張りたいです。
▲衝撃のデビュー2連勝、どちらも“メイショウ”さんの所有馬で (C)netkeiba.com
【本人希望記入欄】
ファンの方へ
一刻も早く、新人らしさが抜けるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
■師匠からの推薦文■
お父さんが調教師、お兄さんがジョッキーという恵まれた環境にいますが、「それに甘んじず頑張りなさい」と日頃から本人に言っています。
新人騎手なので、初騎乗は「他の人に迷惑をかけないように」と思って見ていましたが、クリアしてくれてよかったです。僕自身もそうでしたが、1つ勝ったことで気持ちも変わったでしょう。レースも落ち着いて乗っていますね。
減量が取れるまでに基礎を身に着けて、1頭の馬に携わる方々へ乗せていただける感謝の気持ちを持って、みんなから可愛がられるジョッキーになってほしいです。
▲「ファンのみなさんへ、応援よろしくお願いします!」 (撮影:大恵陽子)