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【再掲】“広尾”快挙! パンサラッサ&バスラットレオンでドバイ全勝、悲願のGI初制覇

  • 2022年03月28日(月) 12時00分
海外競馬通信

▲「令和のツインターボ」パンサラッサと、大ベテラン池田厩務員 (撮影:小金井邦祥)


※当記事は2022年3月17日配信分の再掲です

3月26日のドバイワールドカップデーに2頭を送り込む一口クラブ「広尾サラブレッド倶楽部」。「令和のツインターボ」とも称される逃げ馬・パンサラッサはドバイターフ(芝1800m)に、昨年のニュージーランドトロフィーを制したバスラットレオンはゴドルフィンマイル(ダート1600m)に出走を予定しています。

一口あたりの募集価格が手頃でありながら、この1年間で重賞4勝といま注目の一口クラブ。2頭のドバイ遠征について、広尾サラブレッド倶楽部株式会社代表取締役の米山尚輝氏に伺いました。

(構成=大恵陽子)

パンサラッサ、先行有利のメイダンへ


――パンサラッサとバスラットレオンのドバイ遠征の決定、おめでとうございます。広尾サラブレッド倶楽部にとって初の海外遠征となりますが、いまのお気持ちはいかがですか?

米山尚輝氏(以下、米山氏) 今年設立15周年となる節目に初の海外遠征、そしてG1挑戦という舞台にいけることは、会員様を含めとても嬉しく、楽しみです。

――両馬の遠征決定までの経緯はどういったものだったのでしょうか?

米山氏 クラブ法人の広尾レース株式会社代表取締役の中尾と(管理する)矢作先生とで何度も意見交換をし、バスラットレオンは第一候補としてドバイターフを目指すこととなりましたが、ゴドルフィンマイルへの招待状が届きました。

 昨年のNHKマイルC以降は本来の走りができておらず、ここで違う環境での勝負をしたいという気持ちに加え、矢作先生の「メイダン競馬場のダートはバスラットレオンに合っている」という見解が出走を決める一番大きなファクターとなりました。

 パンサラッサはかねてより中山記念の後は大阪杯かドバイターフというプランだったことはファンの皆さんもご存知かと思いますが、やはり中山記念の勝利が大きかったのか招待を受けました。

 クラブとしても出走予定全馬の過去のレースを見て、色々と意見交換もさせていただきましたが、何よりも気性が勝っているタイプの馬ですので矢作先生のご意見と、「馬の状態はOK」ということから、先行有利のメイダン競馬場での勝負を選択しました。

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▲▼前走の中山記念での大逃げ、後続との差は縮まらず (撮影:小金井邦祥)


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――初の海外遠征が決まり、クラブ内や会員様の反応はいかがですか?

米山氏 社内の様子はご想像の通り、明るくて勢いがつきました。会員様からもポジティヴなご意見がほとんどで、皆さまこの挑戦をサポートしてくれています。

――ドバイへの遠征を控えた2頭の様子はいかがですか?

米山氏 これは矢作先生から報告でありますが、パンサラッサは元気いっぱいで13日の坂路調教でも単走で馬なりながら51.1-12.3秒を出すほど調教でも動いてしまうようで、無理なく本番に向かいたいとのことでした。

 バスラットレオンも順調で13日の調教で負荷をかけたようです。本番前に併せ馬で追い切る予定と聞いております。

――パンサラッサは昨年のオクトーバーS(L)での逃げ切り勝ちから、福島記念、有馬記念、中山記念と、“強い逃げ馬”として定着しました。いまや“令和のツインターボ”とも言われていますが、最近の活躍をどう見ていらっしゃいますか?

米山氏 オクトーバーSと福島記念で彼の強さを感じ取れて、これも矢作厩舎の皆さまのご尽力があってのことで、矢作先生の“信は力なり”に重なるものがあるのではないでしょうか。

 有馬記念は13着に敗れはしましたが、綿密にペースを刻むことを考えてレースに臨んでくれたことが記憶に新しく、あの敗戦が中山記念の勝利につながったと思います。それこそが矢作厩舎が世界を制した所以ではないでしょうか。パンサラッサの「逃げ」というスタイルを確立していただいたことに感謝しかありません。

――募集当初はどのような期待を抱いていましたか?

米山氏 日本ダービーに出走したエタンダールの半弟で、しかも矢作厩舎所属なので、会員様を含め大きな期待しかありませんでした。3戦目を大差で初勝利を挙げた時に、恐らく矢作先生は未来のパンサラッサが見えていたのではないでしょうか。それがなければ、今のパンサラッサはないと思います。

――ドバイターフへの手応えや期待をお聞かください。

米山氏 ドバイに行くことを決めるまでが私たちの仕事ですので、ここから先は“チーム矢作”の皆さまに託すのみです。「無事に完走して、無事に戻ってきてほしい」ということが願いであり、結果についてはパンサラッサを信じて楽しみたいと思っています。

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▲“チーム矢作”に託し、パンサラッサを信じて楽しみたい (撮影:小金井邦祥)


矢作厩舎で昨年重賞3勝「見えないところにチーム努力」


――バスラットレオンは昨春にニュージーランドTを制し、日本ダービー出走も果たしました。募集当時はどんな期待を抱いていた馬でしょうか?

米山氏 当歳の時に矢作先生の眼に留まった仔でしたので、走ることに疑いの余地はありませんでした。その通りにメイクデビューを勝ってくれましたからね。当初から、バネがすごい、と聞いていましたので、会員の皆さまと大きなところを獲りたいとは思っていて、その通りにニュージーランドTを完勝してくれました。

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▲藤岡佑介騎手の手綱でニュージーランドTへ (撮影:下野雄規)


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▲期待に応え、逃げ切りで5馬身差の快勝 (撮影:下野雄規)


――その後は重賞で戦い続け、武蔵野Sでは初ダートを経験しました。こういったローテーションの狙いというのは?

米山氏 NHKマイルCのスタートでの落馬の影響があったことは否めないので、ローテーションについては矢作先生のご判断に委ねていました。

 デビュー前から「ダートもいけそう」と聞いていて、武蔵野Sは13着と結果は伴いませんでしたが、何かを掴めたことで今回のゴドルフィンマイルへの挑戦となりましたから、あの挑戦は意味があったと思います。

――ドバイでは再びダートに臨みます。手応えや期待はいかがですか?

米山氏 バスラットレオンも無事完走が願いで、彼の力を信じたいと思っています。

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▲矢作先生の眼に留まった馬、バスラットレオンの力を信じて… (撮影:下野雄規)


――さて、広尾サラブレッド倶楽部は2021年は過去最多の重賞3勝を挙げました。そのうちの2勝が、この2頭での勝利です。パンサラッサとバスラットレオンはどんな存在ですか?

米山氏 重賞を勝ってくれて、「特別でない」なんて言えないです。パンサラッサもバスラットレオンもファン多き戦友であり、弊社にとっては大きな存在であります。

――京王杯2歳Sキングエルメスを含め、昨年の重賞3勝すべてが矢作厩舎とのタッグです。馬主目線での矢作厩舎の魅力とは何ですか?

米山氏 先月引退された藤沢和雄調教師が目指してやまなかった世界制覇を達成した“世界のチーム矢作”です。ブリーダーズカップを2勝し、誰もが注目する猛者・馬が集まる名厩舎であることは疑いの余地がありません。私どもはその中の一社でしかありません。

 馬に対する情熱、勝利に対する執着心、馬への矯正力や修正力、先見の明、そして何よりもチーム力がすごいと思います。現役時に矢作厩舎の主戦の一人だった中谷雄太元騎手も矢作厩舎の馬たちのサポートをしてくれていると聞きました。やはり、見えないところにチームの努力があるのだと思います。

――広尾サラブレッド俱楽部も「いま最もアツいクラブ」と言っても過言ではありません。会員様にはどのような一口馬主ライフを送っていただきたいですか?

米山氏 いえいえ、弊社はまだまだ未熟です。いかにして会員様に楽しんでいただけるかを日々模索しています。

 競馬ビギナーでも無理なく競馬を楽しんでいただける世界を作って、競馬界全体の活性化につながる一助となれるよう、これからも努めていきたいと思っています。

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