先週の血統ピックアップ
・4/3 大阪杯(GI・阪神・芝2000m)
好位追走のポタジェがレイパパレをクビ差とらえて優勝しました。GIはもとより重賞を勝ったのも初めてです。毎日王冠やオールカマーを制したルージュバックの4分の3弟。父はマンハッタンカフェからディープインパクトに替わりました。
母ジンジャーパンチはブリーダーズCディスタフ(米G1・ダート9ハロン)をはじめG1を6勝し、米古牝馬チャンピオンに輝いた名牝です。本馬は2018年のセレクトセール1歳において、金子真人ホールディングスが1億9000万円(税抜)で落札しました。母方にデピュティミニスターを持つディープインパクト産駒は、JRA重賞を通算32勝しており、うち11勝は金子真人ホールディングスが馬主です。
金子真人さんは、自身が所有したクロフネが活躍したあと、デピュティミニスターに傾倒していったように見えます。カネヒキリ、アパパネ、マカヒキ、アカイトリノムスメ、ソダシ、そしてクロウキャニオンの息子たち(ボレアス、カミノタサハラ、ヨーホーレイクなど)は、いずれもデピュティミニスターを含んだ血統構成です。
もちろん、キングカメハメハとディープインパクトを抜きに金子さんの傑出した成績を語ることはできませんが、その背景にあるデピュティミニスターの存在もきわめて重要です。
・4/2 ダービー卿CT(GIII・中山・芝1600m)
後方に控えたタイムトゥヘヴンが直線で大外から突き抜けました。ロードカナロアは今年に入ってJRA重賞6勝目。これは全種牡馬のなかでトップです。
母キストゥヘヴンは桜花賞をはじめ4つの重賞を制した名牝で、4世代を残して早世したダービー馬アドマイヤベガの、わずか2頭しかいない平地GI勝ち馬の1頭です(もう1頭はブルーメンブラット)。2代母ロングバージンはロンググレイス(エリザベス女王杯)、ファイアーダンサー(京都牝馬特別)、ロングイーグル(京都新聞杯-2着)などをきょうだいに持つ良血です。
ロードカナロアはハーツクライ牝馬と相性がよく、この組み合わせからケイデンスコール、トロワゼトワル、ヴァルディゼール、タガロアと4頭の重賞勝ち馬が出ています(タガロアは豪G1馬)。
タイムトゥヘヴンの母の父アドマイヤベガは、ハーツクライと同じ「サンデーサイレンス×トニービン」の組み合わせなので、ロードカナロアとハーツクライ牝馬のニックスにきわめてよく似た配合構成となります。
今週の血統注目馬は?
・4/10 吹田特別(2勝クラス・阪神・ダ1800m)
阪神ダ1800mに強い種牡馬はキズナとオルフェーヴル。それぞれ連対率29.2%、27.5%と優れた成績を挙げています。
当レースにはキズナ産駒のレガーメペスカ、オルフェーヴル産駒のアルベニスが登録しています。前者は当コースで2回走って2着、3着。後者は休み明けですが、当クラスで2着の成績があるので、稽古の動き次第では十分狙えます。
今週の血統Tips
大阪杯をポタジェが勝ち、その父ディープインパクトはJRAのGI勝利数を69勝としました(アンジュデジールが勝ったJBCレディスクラシックは京都競馬場での開催だったのでこれを含む)。歴代ナンバーワンのサンデーサイレンスは71勝ですから、あと2勝で並ぶことになります。
周知のとおりサンデーサイレンスはあらゆる種牡馬記録を塗り替えた大種牡馬で、その最良の産駒であるディープインパクトは、キャリアを重ねるにしたがって父の記録に迫っています。JRAのGI勝利数記録を更新するのは時間の問題でしょう。
父が活躍した90〜00年代と違い、海外競馬での活躍が増えたため、同じ尺度で比較するのは難しくなっています。
サンデーサイレンスは海外G1を4勝、地方GIを3勝しましたが、ディープインパクトは海外G1を27勝。これらを加えると78勝と96勝となり、逆転するどころか大きく差が開きます。
どちらが優秀か、という議論は不毛で、どちらも世界の競馬史に名を刻む大種牡馬です。英2000ギニーを勝ったサクソンウォリアー(父ディープインパクト)は今年産駒がデビュー。すでに勝利馬も出ており、ヨーロッパの2歳戦線で旋風を巻き起こしてほしいものです。日本で血統登録された馬も8頭います。