前哨戦で横山武史騎手と勝利したナミュール(c)netkeiba.com
今週は桜花賞が行われます。前哨戦のチューリップ賞を完勝したナミュール、阪神ジュベナイルFの覇者サークルオブライフ、2戦2勝でクイーンCを勝ったプレサージュリフトなど好メンバーが揃いました。このレースに出走を予定している有力馬について馬場や馬体といった視点を中心に解説していきたいと思います。
ナミュール チューリップ賞時はまだ余裕のある体付きで、筋肉の質が目立つものの腰など甘いところだらけの馬体でしたが、ここにきてグンと完成度が上がってきました。皮膚を薄く見せ、背中のラインもグンと力強くなり、無駄な脂肪が抜けています。飛節も非常に力強く、この造りならゲートも心配なさそうです。枠は悪いですが、Bコース替わりで外からの差しが利くようになっていれば勝てる可能性が非常に高いでしょう。逆に外が伸びない馬場だと苦しいかもしれません。
サークルオブライフ チューリップ賞時は全体的に明らかに余裕残しで、調教でも遊び遊び走っていました。それでも3着にくるのですから能力が高いことは間違いないでしょう。一叩きされて大分体が締まってきましたが、張りという点では更に上を期待していただけに写真では不満です。肌艶等を見ると前走時よりも良さそうですが、あまりにも人気するようなら妙味は薄いと思います。
プレサージュリフト 筋肉が張り詰めていて皮膚も非常に薄く見せ、ハービンジャー産駒らしい重苦しさがない馬です。特にトモの筋肉の充実ぶりは素晴らしく、チューリップ賞組にも劣らない素質を持っています。手先に軽さがあるので速い上がりにも対応できますが、パワーも兼ね揃えているので道悪などでも対応できそうです。素質ではナミュールと比べても引けを取らないくらいかもしれません。楽しみな一戦になりそうです。
サブライムアンセム 気性的に激しいところはありますが、一戦ごとに馬体が良くなり、レース内容も良くなっています。今回は更にトモの筋肉に厚みが出て良くなっていますし、全体のバランスも良くなってきました。筋肉の質が非常に強く、柔軟なつなぎとやや曲飛気味の飛節が類稀なるバネを生み出しています。距離はマイルまでは持ちますし、チャンスはあります。
ウォーターナビレラ シルバーステート産駒ですが、ハーツクライ産駒に見えるくらいトモの筋肉に丸みがありますし、明らかにパドックで緩かった前走時よりもグンと馬体が引き締まっています。筋肉の張りも前走時とは雲泥の差です。前へ付ける脚がありますし、そこで脚を溜めることもできるので堅実に走れるタイプ。枠も良いところを引けましたし、多少内が有利な馬場なら頭まであっても良いと思います。
アルーリングウェイ まだ腹回りなど絞れる余地はありますが、トモの筋肉はかなり充実していて、ここの有力馬と比べても引けを取らないと思います。ツナギがやや短めですが、後肢の長さがそこそこあって可動域もあるので距離はギリギリ持ちます。パワーを感じさせるので、良馬場の切れ勝負というよりは道悪などで台頭してくるタイプでしょう。雨が降るか極端に内枠有利な馬場なら面白いと思います。
【総括】
ナミュールが大外枠を引いて、馬場によって着順が大きく変わる可能性が出てきました。他の馬も充実していますので、馬場によっては非常に馬券的に面白いレースになりそうです。結論はこれらの要素や調教などを加味してウマい馬券で提供しますので、そちらもご注目下さい。
■プロフィール
古澤秀和(ふるさわひでかず)
2002年に雑誌「競馬王」でデビューしたのを機に、プロ予想家としての活動を開始。中央競馬で全レースのパドック・返し馬を徹底観察。そこから競走馬の能力、適性などに加え脚質も見抜き、馬券を組み立てる。パドック派にありがちな本命予想ではなく、複勝で10倍を超えるような穴馬を見つけるのが得意。必ず開催競馬場に足を運び、生の馬を徹底観察。繋(つなぎ)や蹄、体型、骨量、筋肉の量・質、関節の柔軟性や、脚元、馬具などのデータを採取。それを基盤としながら、血統やレースリプレイ、過去データ分析などのファクターを絡めて予想している。主に各馬の「適性」を見極めることに注力し、「適性外の条件で惨敗」→「適性条件で巻き返し」というパターンに重点を置いた予想を展開。これにより、複勝10倍を超えるような穴馬も高頻度でピックアップしている。