スマートフォン版へ

2代母スタセリタから繋がるオークス血統

  • 2022年05月23日(月) 18時00分

先週の血統ピックアップ


・5/22 オークス(GI・東京・芝2400m)
 中団を追走したスターズオンアースが直線でスタニングローズを交わし、桜花賞と合わせて牝馬二冠を達成しました。前半1200mが1分13秒1とスローペースだったので、後半1200mは1分10秒8と速くなりました。1986年以降のオークスでは、2017年のソウルスターリング(1分10秒1)に次いで2番目に速い後半ラップです。

 奇しくもスターズオンアースはソウルスターリングの姪にあたり、両馬とも名牝スタセリタのファミリーに属しています。母サザンスターズはオークス馬ソウルスターリング、アルテミスSを勝ったシェーングランツの半姉。2代母スタセリタは仏オークス(G1・芝2100m)、ヴェルメイユ賞(仏G1・芝2400m)、フラワーボウル招待S(米G1・芝10ハロン)など6つのG1を制した名牝で、米芝牝馬チャンピオンのタイトルを獲得しています。

 社台ファームが購買し、日本の土を踏みました。世界トップクラスの競走能力に加え、ドイツ血統を中心とする異系のヨーロッパ血統で構成されているので、繁殖牝馬としての価値はきわめて高いといえます。現時点でスタセリタが産んだ7頭のうち6頭は牝馬なので、これから先、ソウルスターリングやスターズオンアースの近親はどんどん増えていくことになります。社台ファームの屋台骨を支える重要牝系となるはずです。

・5/21 平安S(GIII・中京・ダ1900m)

 好位を追走したテーオーケインズが別定59kgをものともせず、ケイアイパープルに2馬身半差をつけて楽勝しました。これで4つめの重賞タイトルです。昨年以降7戦5勝で、敗れた2戦は、スタートで大きく出遅れたJBCクラシックと、海外遠征のサウジCのみ。現在のダート中距離路線にはチュウワウィザード、オメガパフュームなどの強豪がいますが、そのなかでも頭ひとつ抜けた存在でしょう。

 父シニスターミニスターは、アメリカの主流ラインのひとつエーピーインディ系に属しています。これまでにインカンテーション、キングズガード、ヤマニンアンプリメなどを出し、ダート界を代表する種牡馬の一頭と評価されています。母マキシムカフェの半妹タマノブリュネットは、大井競馬場のダートグレード競走レディスプレリュード(JpnII・ダート1800m)を勝ちました。

 順調であれば次走は大井の帝王賞(JpnI・ダート2000m)。前述のチュウワウィザード、オメガパフュームも駒を進めてくるはずなので、見逃せない大一番となります。

今週の血統注目馬は?


・5/29 青嵐賞(2勝クラス・東京・芝2400m)
 東京芝2400mに強い種牡馬はルーラーシップ。2012年以降、当コースで産駒が20走以上した35頭の種牡馬のなかで連対率27.5%はナンバーワン。

 当レースには産駒のダノンターキッシュが登録しています。前走、距離を延長して初めて芝2400m戦に臨んだのですが、超スローペースの前残りとなり、上がり3ハロン32秒8で後方から差を詰めたものの4着に終わりました。普通のペースであれば勝ち負けに持ち込めるでしょう。

今週の血統Tips


 昨年の日本ダービーをシャフリヤールが制し、父ディープインパクトは4年連続制覇、通算7勝目を挙げました。いずれも歴代単独トップとなる大記録です。ラストクロップの現2歳世代は血統登録頭数がわずか6頭、しかも牡馬は2頭しかいないので、今年のダービーが最後の出走となる可能性が高いでしょう。

 世界に目を向けると、ディープインパクトを上回る記録は、イタリアダービーにおけるシニョリーノ(Signorino)が保持しています。1910年代から20年代にかけて7年連続制覇、通算8勝という空前絶後の大記録を作っています。

 ただ、当時のイタリア生産界の規模はきわめて小さく、種牡馬の数もごくわずかだったので、同列には語れません。ちなみに、今年の日本ダービーの登録馬のなかでは、コマンドラインがシニョリーノの血をごくわずかながら受け継いでいます。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング