▲小牧加矢太騎手の新連載「加矢太論」がスタート!(c)netkeiba.com
馬術チャンピオンから障害専門のJRAジョッキーに転身した小牧加矢太騎手。そんな華麗なる大型新人の短期連載「加矢太論」が、本日よりスタートします。
父・小牧太騎手の緻密な戦略により導かれた騎手の道でしたが、馬に寄り添い、馬と共に歩む生活は加矢太騎手にとって最良の環境。その実力は遺憾なく発揮され、すでに5勝を挙げる活躍。さらに1日に7頭もの調教をつけるという、売れっ子っぷりでもあります。
この連載では「調教日記」として、平地を走っていた馬が障害デビューするまでの過程をご紹介すると共に、「知られざる障害試験の全容」や「オジュウチョウサンのすごさ」など、毎回テーマを設けてお届けします。
毎週月曜日は「加矢太論」(掲載期間は2カ月間の予定)、毎週火曜日は「太論」。小牧ファミリーへのご声援も、ぜひお願いいたします!
(取材・構成=不破由妃子)
障害馬のスケジュールは本当にハード!
今年3月、障害限定の免許を取得し、JRAジョッキーとしてデビューした小牧加矢太です。僕の父親は……もはや説明不要ですね(笑)。
父が自身のコラム(『太論』)で、僕がJRAの試験を受けることを報告したのが昨年3月末。その時点では、憧れを抱きつつも「ジョッキーになんてなれるわけがない」と思っていたのですが、父が公にしたことをきっかけに、僕も腹を括りました。すっかり父の策略にハマったわけですが、今では道筋を作ってくれたことに本当に感謝しています。
というのも、デビューして約4カ月、とても濃密な時間を過ごさせてもらっていますし、調教もレースも本当に楽しくて。言うまでもなく、ジョッキーとしてはまだまだです。“競馬力”を付けるべく、周囲の方々に教えを請いながら、日々精進している真っ最中です。
それでも、自分が一から障害を教えた馬が育ってきてくれるのは、やはりうれしいし、その成長を実感できるのはすごく楽しい。デビューした直後は落馬もありましたが、今では自分が作らせてもらっている馬のなかに「飛越が危ない」と感じる馬はいないので、これまでのキャリアを生かせている実感も得られるようになりました。
▲加矢太騎手の障害初騎乗となったブルベアペスカ(撮影:高橋正和)
平地を走っていた馬が障害馬としてデビューするまでの期間は、馬によって多少前後しますが、おおよそ約1カ月。初めて障害を飛ばしてから、障害試験を受けるまでが早くて2、3週間といったところですが、そんな限られた時間のなかで馬は毎日障害を飛び、厳しい練習をこなしています。
僕の経験上、競技会に出るような乗馬でも、障害を飛ぶのは週に1回か2回です。競走馬のスケジュールは本当にハードですが、相手は生き物であるという自覚を常に強く持ちながら、できる限りオーバーワークにならないように気を付けて調整を続けています。
ちなみに、僕に記念すべき初勝利をプレゼントしてくれたヴァーダイトは、たった1週間の練習で障害試験に合格。飛びは決して上手くはないのですが、センスがとてもいい馬で、何より卓越したボディバランスを持っています。多少踏み切りが違ったとしても小器用に越えていきますし、運動神経がとてもいいんでしょうね。