【関屋記念】前半スローの後半がやや速くなるワンターンのマイル戦
末脚に自信のある戦い方の共通点
直線658.7米、新潟外回りコースのこのホームストレッチは、とてつもない切れ味を発揮するシーンを生んできた。
7月30日の新馬戦芝1600米で、牝馬のドゥラメンテ産駒リバティアイランドが、上がり3ハロン31秒4のJRA史上最速タイをマークした。これは直線1000米の韋駄天Sでルッジェーロが記録したものと同タイムだが、中団後方で折り合い、直線大外から3馬身と突き抜けた勝ち方に今後の可能性を大きくしてしまう。
このワンターンのマイル戦は、スタートして前半がゆっくり流れ、後半がやや速くなることが多く、末脚に自信のあるものの戦い方は共通している。今週の関屋記念の、ここ3年の勝ち馬を検証してみた。
3年前1番人気で9ヶ月ぶりのレースで勝ったミッキーグローリー(牡6)は、後方でじっと構え、ギリギリまで前に壁をつくり道中は15番手、あと1ハロンでステッキを入れてスパートし、ゴール寸前で差し切っていた。
ディープインパクト産駒らしい極上の切れで京成杯AH以来2つ目の重賞勝ちだった。ペースは前半マイル46秒5、後半マイル45秒6のスローで、自身は上がり3ハロン32秒2で2番目に速かった。そして、2年前4番人気で勝ったサトノアーサー(牡6)は、出遅れたが迷わず後方の内に入れ、じっくり待って残り400米で外に出し、逃げて粘るトロワゼトワル(牝5)をとらえていた。
ペースは、46秒3に46秒8の平均ペースで、自身の3ハロンの上がりは33秒7の最速だった。2年前にエプソムCを勝ってから1年に及ぶ休養があり、一丸となって復活させたのだが、勝てない期間があまりにも長く人気は下がっていた。
この2頭は遅咲きの6歳馬だったが、昨年は4番人気ロータスランド(牝4)が勝っていた。46秒6、46秒1の先行有利なペースを2番手で逃げ馬を追い、あっさり交わして重賞初勝利だったが、マイルシリーズ初戦の米子Sを先行して阪神で勝っていて、前走の中京記念は小倉1800米で、初めてのコーナー4つのレースの戸惑って5着に終っていた。
勝ちタイム1分32秒7、自身の上がり3ハロン34秒1で、先行馬が余力十分に走れたのが勝因と言える。
長い直線でほぼ平坦というコースということと、前半マイルがそれほど速くならないこのマイル戦は、他場とは異なっている。今年のメンバーでは、2年前に新潟のマイルで新馬戦を勝っているイルーシヴパンサー(牡4)を。
安田記念8着は追い込み届かずだったが、それでも0秒2差まで追い込んでいた。とにかく長い直線で威力を増せる。
ダノンザキッド(牡4)はホープフルS以来ずっと勝てずにきたが、マイルCS3着の実力馬。不器用な馬だけに、これも長い直線こその思いが強い。
あとは、爪の不安が解消して本格化したウインカーネリアン(牡5)の2連勝の勢いに注目したい。
「展開を 味方につけて ここにあり」