若駒たちの将来を見通す先に…
2歳重賞の第2戦、新潟2歳Sは、毎年各地でデビューした若駒たちが覇を競ってきたが、今年はこれまでとは少し異なる顔ぶれになった。
頭数がそれほどでもないのに、地方出身馬も含め勝ったコースが6ヶ所にも及んでいる。それだけ舞台がガラリと変わる馬が多く、未知の部分が多い2歳馬にどんな可能性があるのか興味をそそられる。
6月に新馬戦がスタートして10年が経過したが、新馬勝ちしたものが7頭、2戦目に勝ったものが3頭、新潟2歳チャンピオンになってきた。その中で顕著なのが、すべてが左回りのコースで勝っていて、新潟が5頭、中京が4頭、東京が1頭となっている点だ。
そして、この新潟外回り1600米というコースの特徴が出ているのが、スタートして向正面の直線がそれほど速くならず、馬場が良ければどの勝ち馬も上がり3ハロンが33秒台前後と、末脚を伸ばしている点だ。さらには、勝ち馬のうち7頭もがレースの最速の上がりをマークしていて、他の3頭もレースの上がりを大きく上回っている点も、はっきりしている。
9年前の勝ち馬ハープスターが、32秒5の末脚で17頭ゴボウ抜きしたシーンは、新潟2歳Sの今日を暗示していた。その勝ち方で、来春の桜花賞、皐月賞も見えてくることもあるということだ。
こうした若駒たちの将来を見通す他に、2歳戦の大切な点は、今年の2歳戦にデビューさせた新種牡馬たちの動向だ。種牡馬の世界も、これまで席捲していた有力馬に代わって次々と顔ぶれが新しくなってきた。
新しく産駒を登場させる種牡馬は久しぶりに40頭を超えていて、外国産も8頭を数えている。ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライといった種牡馬に代わってどれが主導権を握るか、しばらくは戦国時代が続くだろう。
今年は、ディープインパクトの後継として新たに4頭が産駒を登録させているが、これでディープの後継種牡馬は30頭になり、こちらの主導権争いにも興味がわく。
産駒数の多い新種牡馬は、サトノクラウン、リアルスティール、マインドユアビスケッツ、ベストウォーリア、サトノダイヤモンド、デクラレーションオブウォー、ビーチパトロールと続いているが、新潟2歳Sに産駒を出走させている、デクラレーションオブウォーとビーチパトロールは米国産、新風を吹き込んでいる先兵と言っていい。果たしてどんなレースをするか注目したい。
デクラレーションオブウォーは種牡馬として仏2000ギニー馬を出しており、産駒にはマイルから2000米に適性がありそう。ロードディフィート、タマモブラックタイはその点で注目したい。
ビーチパトロールは米国の芝で中距離G1を3勝しており、日本で種牡馬になったこれからが正念場。産駒シーウィザードの可能性がどこまであるか。セオリーを重視すればウインオーディン、キタウイングも考えておきたい。
「吹き荒れて 時代をつくる 風となれ」