▲ワンダーブレットと小牧騎手、初勝利なるか!(c)netkeiba.com
先週は、初めて逃げの手に出たワンダーブレットが2着。最後の最後に勝ち馬の底力にねじ伏せられた格好でしたが、ワンダーブレットも今までにない強さを発揮し、見せ場以上の走りをしてくれました。今週末、最後の未勝利戦に連闘で挑むとのこと。はたして人馬の初勝利の行方は!? この一戦に懸ける思いを語ってくれました。
(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
まさかの2着に「これはきっと神様が意地悪してるんやな」と
──先週のワンダーブレットはコンマ1秒差の2着。いやぁ、勝ったと思いました…。
小牧 あれで勝てんか…っていう感じやね。それにしても、あんなにスタートを出るとは思わんかった。
──ワンダーブレットにとって初めての1700m。これまで1400mではなかなか前に行けなかった馬ですが、1700mなら…ということで、逃げも選択肢に入れているのではと思っていました。
小牧 いやいや、全然。むしろ、出遅れるやろうなと思ってた。今回はずいぶんおとなしかったけど、ゲートでソワソワしてしまう馬なんでね。まさかハナに行けるなんて、思ってもみなかったよ。
──スタートを決めたあとも、スーッとスピードに乗っていきましたね。
小牧 ねぇ。なんでやろ(笑)。道中も余裕があって、4コーナーでは「あら、勝ってしまうわ」と思いながら乗っていたのに。ゴールしたときは、逆に「これで負けるか…」と思ったね。最後は抵抗する間もなかった。あの勝った馬(ハギノロックオン)は強いらしいわ。上がってきたあと、西村が「この馬、オープンを目指せる馬なんですよ」って言ってた。
──そうでしたか。勝った馬は、4コーナーの時点であまり手応えがよく見えなかったから、まさかあそこから盛り返してくるとは思いませんでした。
小牧 そうやねん。僕の馬も止まっていないからね。
──ワンダーブレットは7月13日の園田(JRA交流神鍋山特別2着)以来の実戦でしたが、もともと1700mを使ってみようと思っていたのですか?
小牧 いや、たぶん園田を使ったときだと思うんやけど、目に石か砂が当たったみたいでね。目をちょっと擦るような仕草を見せていたんですわ。その間は運動もできなくて、ずっと休んでたんやけど、目の具合がよくなったもんやから、急きょ使ったんです。追い切りも一回だけで。
──なるほど。一頓挫明けとは思えない走りでしたね。
小牧 きっと休んだことがいいほうに出たんやね。疲れが取れたのか、返し馬でもすごく元気で、動きもいつになくよかった。たぶん、疲れがいっぺんに取れたんやと思う。とにかく今までで一番走った。頑張ったね。最後の週は乗り馬がおらんなぁと思っていたから、小倉から荷物を引き上げてしまったんやけど、今週もう一度使えるからね。
──連闘ですか?
小牧 うん。馬の状態次第やけど、たぶん入ると思うから。レース後に見た限りでは、大丈夫そうやったけどね。逃げにはこだわらないし、なんとか状態をキープして、最後の未勝利戦に懸けたいね。
──それにしても、あそこまでいっての2着は、小牧さんもガックリきたでしょうね。
小牧 ガックリはこなかったけど、これはきっと神様が意地悪してるんやなと。神様が僕を引退させようとしてるのかなって(笑)。でも、あれだけ走ることがわかったのは収穫やったし、僕自身もね、走る馬に乗れば、まだまだやれると改めて思えた。それでもやっぱり結果には腹が立ったから、競馬のあとにひとりで『一蘭』に行って、スープまで全部飲んだった(笑)。
──怒りをスープ完飲で解消(笑)。
小牧 その前に、生ビールを一気に飲み干して。今さらやけど『一蘭』、美味しいわぁ。最近、僕のなかでNo.1になりつつある。僕、あの赤くて辛いのが好きで…。
──「秘伝の辛味」ですね。
小牧 そうそう。最近、凝ってるねん。
──話はガラリと変わりますが、川須騎手にとって久しぶりの重賞制覇となった北九州記念、小牧さんの鞍で乗って勝ったとか。
小牧 そうやねん。僕が中京記念(レインボーフラッグ8着)で52キロに乗ったときの鞍を貸してね。むっちゃ軽いねん。
▲川須騎手にとって7年ぶりのJRA重賞制覇となった今年の北九州記念(c)netkeiba.com
──51キロでしたものね。
小牧 川須が「52キロのときに使っていた鞍、軽いらしいですね」って言ってきたから、冗談で「軽いよ。でも、お前には貸さん。苦労して体重落とせ」って言うたんやけど(笑)。川須は佐賀のサマーチャンピオンも勝って、ここにきていい感じやね。JRAの重賞は7年ぶりだっけ? そういえば僕も、7年前の目黒記念(ヒットザターゲット)以来やなぁ。まぁ今はね、重賞より何より、まずはひとつ勝つこと。今週も頑張ります!
(文中敬称略)