
▲今が旬なおふたりのバレットを務めるのは小牧騎手の娘さん!?(写真左・(c)netkeiba.com/写真右・撮影:下野雄規)
土曜日の新潟メインに出走したフチサンメルチャンは、8番人気の低評価を覆し、コンマ1秒差3着と大健闘! 2度目となる直線競馬で、さらなる可能性を見せてくれました。「これからもっといけそう」と小牧騎手。次走が待ち遠しい限りです。さて、ユーザー質問は「バレットの仕事」について。小牧騎手のバレットは長女のひかりさんですが、実はまさに今が旬の“あのふたり”も担当しているそうで…。
(取材・文:不破由妃子)
※このインタビューは電話取材で実施しました。
メルチャンは惜しい3着、2勝クラスに上がった頃は全然アカンのかと…
──土曜日の新潟メイン、飛翼特別(3歳上2勝クラス・直線芝1000m)に出走したフチサンメルチャンは、コンマ1秒差の3着(8番人気)。惜しかった…。
小牧 馬群が割れたときは勝ったかと思ったけどねぇ。「これは勝てるかも!」と思った瞬間、内から2着の馬にシュッとこられて。
──メルチャンも上がりは32秒4。いい脚で伸びてきたんですけどね。
小牧 スタートで遅れたことでタメが入って、かえってよかったね。8月に新潟の1000mを使ったときは、最後にちょっと止まったところがあったから。今回はタメが利いたことで、最後までしっかり伸びてくれたんだと思う。
──出遅れが功を奏することもある。競馬っておもしろいですね。
小牧 そうやね。それにしても、最近はゲートのなかでソワソワしてるわ。
──道中は多少揉まれているように見えましたが、集中力に影響はありませんでしたか?
小牧 大丈夫やったよ。自分のペースでちゃんと走れてた。枠順もよかったしね。やっぱり直線競馬は外枠が乗りやすい。
──時計も前回より詰めましたし、改めて直線競馬への適性を証明した一戦だったように思います。
小牧 うん。あそこまでいったら勝ちたかったけど、これからもっといけそうやね。ただ、当分直線1000mの番組がないでしょう。それがちょっともどかしいね。
──芝のスピード競馬に対応できるのはもう間違いないですから、今なら芝1200mでも…と思ってしまうのですが。
小牧 芝は全然問題ないけど、やっぱり距離がねぇ。前にも言ったけど、ベストは800m(笑)。本当に一生懸命に走る馬やから。それでもね、走り出してくれたこと自体、本当によかったなと思う。正直、2勝クラスに上がった頃は、全然アカンのかなと思っとったからね。
──さて、今週の予定ですが、ひょっとして土日ともに東京ですか?
小牧 そうです。土曜日は富士S、日曜日は甲斐路Sに乗ります。
──レインボーフラッグとニホンピロスクーロですね。
小牧 うん。たぶん1頭ずつやろうけど、どちらもおもしろいと思ってるよ。
──前回でコンビ復活となったニホンピロスクーロは、「次が楽しみや」とおっしゃっていましたものね。
小牧 続けて乗せてもらえてよかったです。上手く折り合いをつけて逃げたらね、楽しみは十分あると思うよ。レインボーフラッグも、1600mが一番いいと思う。相手は強いけど、できれば内枠を引いて、古豪の意地を見せたいね。
──では最後に、ユーザーからの質問をひとつ。「小牧騎手、こんにちは。初めて質問をさせていただきます。私は競馬初心者で、最近、騎手の方たちのお世話をするバレットという仕事があることを知りました。小牧騎手は娘さん(ひかりさん)がバレットをされているそうですが、バレットは具体的にどんな仕事をしているのですか? とても興味があります」。
小牧 勝負服を整えたり、斤量に合うように鞍一式を作ったり。あと、レースが終わったあと、鞍を取りにきてくれるのもバレットです。精神的なことでいうと、なんせずーっと一緒にいるから、レースを終えたジョッキーの愚痴を聞くのもバレットや(笑)。
──それはあくまで、小牧さんとひかりさんの場合…では(笑)?
小牧 いや、そんなことないよ。みんなそうやと思うけどな。まぁバレットをしているうちに、競馬にも詳しくなるやろうしね。そういえばね、荻野極(スプリンターズSでGI初勝利)も坂井瑠星(秋華賞でGI初勝利)もひかりが担当してんねん。

▲スプリンターズSでGI初制覇を飾った荻野極騎手(撮影:下野雄規)

▲秋華賞で中央GI初制覇を飾った坂井瑠星騎手(c)netkeiba.com
──すごい! 秋のGIで2戦連続、担当するジョッキーが初勝利を決めるなんて、ひかりさん、勝利の女神ですね!
小牧 そうかもしれんね(笑)。普段担当しているジョッキーが2人もGIを勝って、ひかりもすごく喜んでいると思うよ。
──縁の下の力持ちでありながら、完全に流れを引き寄せていますね。
小牧 ホンマやねぇ。しばらくGIには乗っていないから、僕にも波を引き寄せてくれんかな(笑)。
(文中敬称略)