先週の血統ピックアップ

・10/23 菊花賞(GI・阪神・芝3000m)
　離れた2番手を追走したアスクビクターモアが4コーナー手前で先頭に立ち、ゴール前で差を詰めたボルドグフーシュをハナ差退けました。勝ちタイム3分02秒4はコースレコード。これでディープインパクト産駒はわが国のクラシックレースを24勝したことになり、サンデーサイレンスの23勝を抜いて新記録となりました。

　秋華賞はクラシックレースには含まれませんが、もしこれを含めて牡牝三冠というカテゴリーで比較すると、ディープインパクト29勝、サンデーサイレンス25勝で、もっと差が開きます。

　そして、海外クラシックを含めればさらに大きな差が生じます。今年の3歳世代が実質的なラストクロップではありますが、ほんのわずかしかいない現2歳世代から、イギリスのフューチュリティトロフィー(英G1・芝8ハロン)を勝ったオーギュストロダンが出現し、来年の英ダービーの前売りオッズで現在1番人気に推されています。恐るべき種牡馬です。

　アスクビクターモアはヨーロッパで2つの芝マイルG1を勝ったケマーの半弟。母カルティカは現役時代に芝2100mの仏G3で3着となりました。母の父レインボークエストは凱旋門賞馬で、フランケルの2代母の父でもあります。ヨーロッパ血統を豊富に抱えている影響か、ディープインパクト産駒ながら末脚の切れよりも持続力に強みがあり、だからこそキツい流れの日本ダービーで、先行馬のなかで唯一馬券圏内となる3着に食い込みました。

　今回も切れ味勝負になるのを防ぐために早めにスパートしましたが、その目論見は見事に当たりました。有馬記念に出てくるようなら楽しみです。

・10/22 富士S(GII・東京・芝1600m)

　後方に控えたセリフォスが直線で大外から伸び、ソウルラッシュ、ダノンスコーピオンとの追い比べを制しました。昨年11月のデイリー杯2歳S以来の重賞制覇となります。母方にブラッシンググルームを持つダイワメジャー産駒はニックスで、メジャーエンブレム(阪神ジュベナイルフィリーズ、NHKマイルC)、コパノリチャード(高松宮記念)、ロジチャリス(ダービー卿チャレンジトロフィー)をはじめ多くの活躍馬が出ています。

　本馬はこのニックス配合から誕生しており、全体の構成、入る血も申し分なく、ダイワメジャーのマイラー配合としては文句なしのA級。母シーフロントは晩成タイプで、仏G1ジャンロマネ賞で4着となったのは5歳時でした。ダイワメジャー産駒は完成が早めですが、まだ伸びしろは感じられます。

今週の血統注目馬は？

・10/30 聖籠特別(1勝クラス・新潟・芝1800m)
　新潟芝1800mと相性のいい種牡馬はキズナ。連対率29.3％は、2012年以降、当コースで産駒が20走以上した54頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはサイード、ピナと2頭の登録があります。注目したいのはサイード。前走、休み明けの中京戦は7着に終わりましたが、阪神と東京で走った春の3戦はいずれも2着。状態面に問題が無ければこのクラスはいつでも勝ち上がれる実力の持ち主です。血統的に相性がいいと思われる新潟芝1800mならおもしろいでしょう。

今週の血統Tips

　菊花賞の回顧でも触れましたが、ディープインパクト産駒は国内クラシック24勝の新記録を樹立しました。皐月賞3勝、日本ダービー7勝、菊花賞5勝、桜花賞5勝、オークス4勝。計24勝です。秋華賞(5勝)は牝馬三冠レースのひとつではありますが、クラシックレースのカテゴリーには入っていないのでカウントしません。

　この他、欧米のクラシックを6勝しています。
・英2000ギニー(サクソンウォリアー)
・英オークス(スノーフォール)
・愛オークス(スノーフォール)
・仏1000ギニー(ビューティーパーラー)
・仏ダービー(スタディオブマン)
・仏オークス(ファンシーブルー)

　そして現2歳のオーギュストロダンが愛G2→英G1を連勝し、現時点で英ダービー戦線でトップに立っています。英ダービーだけでなく、英2000ギニー、英セントレジャーでも前売り1番人気です。ごくわずかなラストクロップから最高傑作が誕生するのでしょうか。来年の欧州クラシック戦線から目が離せません。