今年の3歳世代から最強牝馬に比肩する存在が現れる!?(c)netkeiba.com
1996年から古馬(4歳以上)が出走できるようになったエリザベス女王杯。毎年3歳と古馬の比較が取り沙汰されるレースですが、2015年にターコイズS(12月の牝馬限定GIII)が創設されて以降、3歳馬のエリザベス女王杯出走は激減。2〜3頭の出走にとどまる年が多くなってきました。
1996年以降のエリザベス女王杯26回施行で、古馬の18勝に対して3歳馬は8勝。2006年の3歳カワカミプリンセス1着入線12着降着があったとは言え、それでも52%の単勝回収率を見ても分が悪いことは明らかであり、3歳馬にとって決して楽なレースではないのでしょう。
しかし2週間前の天皇賞(秋)コラムで示した3歳牡馬に関するデータ。要は古馬重賞で3歳牡馬の複勝率が高い年はレベルが高いのではないかという話だったのですが、同じものを3歳牝馬で算出したものが以下の表になります。
■3歳牝馬の同年古馬混合重賞複勝率
1986年3歳世代 7%
1987年3歳世代 11%
1988年3歳世代 27%
1989年3歳世代 11%
1990年3歳世代 4%
1991年3歳世代 22%
1992年3歳世代 28%
1993年3歳世代 17%
1994年3歳世代 32% ヒシアマゾン世代
1995年3歳世代 20%
1996年3歳世代 24%
1997年3歳世代 19%
1998年3歳世代 24%
1999年3歳世代 14%
2000年3歳世代 4%
2001年3歳世代 19%
2002年3歳世代 11%
2003年3歳世代 22%
2004年3歳世代 25%
2005年3歳世代 18%
2006年3歳世代 25%
2007年3歳世代 36% ウオッカ、ダイワスカーレット世代
2008年3歳世代 13%
2009年3歳世代 35% ブエナビスタ世代
2010年3歳世代 24%
2011年3歳世代 17%
2012年3歳世代 30% ジェンティルドンナ世代
2013年3歳世代 15%
2014年3歳世代 15%
2015年3歳世代 13%
2016年3歳世代 19%
2017年3歳世代 22%
2018年3歳世代 37% アーモンドアイ世代
2019年3歳世代 37% グランアレグリア、クロノジェネシス世代
2020年3歳世代 22%
2021年3歳世代 29%
2022年3歳世代 36% ← いまここ
※2022年は11月10日現在。30%を超えた年だけ世代の代表馬を記載。
ご覧の通り、これが30%を超えた年には史上最強候補に数えられる牝馬がズラリと並ぶ状態に。最強牝馬を語る上で、これらの他に名前が挙がるのはエアグルーヴ(1996年3歳世代)ぐらいのものでしょう。すなわち、36%の複勝率をキープしている現3歳世代から、これら最強牝馬に比肩する存在が現れる可能性があるということなのかも知れません。
こういった情報は、"データが揺るぎないところまで行っての後追い"では馬券的な旨味がありません。抽出したデータを元に、その先を(しかも、できれば世論とは剥離した形で)先取りできてこそ、情報屋としての価値が出てくるというものです。
今年のエリザベス女王杯には、スタニングローズ、ナミュール、ピンハイ、マジカルラグーンにライラックと外国馬を含む5頭の3歳馬が参戦予定。ウマい馬券では、ここから更に踏み込んでエリザベス女王杯を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。