▲お父さんになったコントレイルに会いに行きました(c)netkeiba.com
昨年のジャパンCでの勝利を最後にターフに別れを告げたコントレイルは、社台スタリオンステーションで種牡馬生活に入りました。初年度の今年は193頭の種付けをこなし、無事にシーズンを終了。来シーズンに向けて鋭気を養うコントレイルを取材するため、11月10日に社台スタリオンステーションを訪ねました。
馬房を覗くとコントレイルが横になってウトウト…。それは競走馬時代のとてつもない強さからは想像もつかない静かな光景でした。その姿に癒された後、社台スタリオンステーションの三輪圭祐さんに種牡馬コントレイルについて話を伺いました。
(取材・文=佐々木祥恵)
もしかするとディープインパクト以上ではないか
コントレイルは、2017年4月1日に北海道新冠町のノースヒルズで生まれた。父ディープインパクト、母ロードクロサイトという血統で、栗東の矢作芳人厩舎の管理馬となり、2019年9月15日に阪神の芝1800mの新馬戦で優勝。そこから翌年秋の菊花賞まで土つかずの7連勝で三冠馬となった。
三輪さんがコントレイルを意識したのは、2戦目の東京スポーツ杯2歳Sだった。
「毛色は違いますが、馬格や軽さなどディープインパクトらしさを持っているとパドックで感じました。実際レースでもライアン・ムーアさんを背にしてものすごく強い勝ち方をしましたので、その時点でこの世代のトップクラスの馬だと思いました」
コントレイルを直接目にしたのは、3戦目のホープフルSだった。
「東スポ杯で受けた印象の通り、ディープインパクトの良いところを受け継いでいる素晴らしい馬だと、現地で実際に見て実感しました」
▲無敗でホープフルSを勝利(撮影:下野雄規)
その後も快進撃を続け無敗のまま三冠を達成したことに対しても、その実力を高く評価していた三輪さんは、特に驚くことはなかったという。
「2歳時に感じた印象から、納得できる三冠だと思いますね」
菊花賞後に挑戦したジャパンC(2着)、翌年の大阪杯(3着)、天皇賞・秋(2着)と、3戦敗れはしたが、引退レースのジャパンCで有終の美を飾った。
「3歳時のジャパンCは円熟期にあったアーモンドアイ相手でしたから2着も仕方ないでしょう。それでも実際に翌年のジャパンCに勝って、やはり強い馬だと納得しました」
▲昨年のジャパンCで有終の美を飾った(撮影:下野雄規)
そのコントレイルが社台スタリオンステーションで種牡馬入りが決まり、スタッドインしたのが、2021年12月3日だった。
「到着して馬運車から降りてきた時には、競馬場で間近で見た2歳時より外見上大きく成長したというふうには感じなかったですし、輸送もあったせいか、馬体も萎んでいるように見えて疲れている様子は感じました。とはいえ、質の高い、さすがという動きをしていました。報道関係の方にお披露目するために、歩かせたり立ち姿を見せる時のちょっとした動きが際立っていて、三冠馬は違うなと思いました」
▲三冠馬は違うなと思った(撮影:山中博喜)
到着時には疲れがあったコントレイルだが、時間の経過とともに状態が良くなってきた。
「競走馬時代の疲れもあるだろうなということで、新しい環境に慣らしつつ、最初は自由に気持ち良く過ごしてもらいました。すると体にも張りが出てきて気持ちも戻ってきました」
心身の疲れが取れたコントレイルは、目を見張る動きをするようになる。
「到着当初の動きもさすがだなと思いましたが、そこから1、2か月たって今度は他の馬では見たことのない動きをするようになり、もしかするとディープインパクト以上ではないかと思う瞬間も出てきました」
見たことのない動きとはどのようなものなのか