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【武豊騎手の“逃げ”】蛯名正義調教師の証言「“行きます”“行かせます”という逃げじゃない」

  • 2022年12月05日(月) 18時01分
ノンフィクションファイル

▲武豊騎手の“逃げ”に迫る(c)netkeiba.com


香港カップでジャックドールに騎乗する武豊騎手。名手の手綱さばきが注目されますが、関係者内でも非常に評判が高いのが、武豊騎手の“逃げ”です。

遡れば、名馬サイレンススズカでの鮮やかな逃げ切り勝ち、近年ではキタサンブラックとのコンビでの逃げが印象的。同厩舎のトウケイヘイローとのコンビでは、2013年の香港カップで2着に逃げ粘りました。

名手の技とは、どういうものなのか? 騎手の同期で、サイレンススズカとの対戦経験がある蛯名正義調教師、そしてキタサンブラック・トウケイヘイローを輩出した清水久詞調教師に、それぞれの見解を語っていただきました。

(取材・構成=東京スポーツ・藤井真俊)

武豊騎手のエスコートで、馬がリラックス


──武豊騎手の“逃げ”というと、どのようなイメージがありますか?

蛯名 “柔らかい”イメージかな。ほわ〜んとしてるというか…。

──ほわ〜ん?? もう少し分かりやすくお願いします(笑)。

蛯名 馬への当たりが強くなくて、気分よく走らせる感じ。表情で言えば馬の目が“ギュッ”と逆三角形になって走らせているんじゃなくて、穏やかな表情で走らせてるんだよ。

──何となく分かってきました。強要するのではなく、馬の気持ちも尊重しているんですかね?

蛯名 そうそう。「行きます!」とか「行かせます!」みたいな逃げじゃない。「ほな一緒に行こか…」みたいなイメージだよね。

ノンフィクションファイル

▲2着に大差をつけて逃げ切った1998年金鯱賞のサイレンススズカ(撮影:高橋正和)


──そういう逃げだと馬がリラックスして走れる?

蛯名 うん。無駄な力みや緊張感がないから、エネルギーのロスが少なくなるよね。そうすると

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