▲後編では2年目の抱負を伺います(c)netkeiba.com
2022年、新人騎手最多勝のJRA51勝を挙げた今村聖奈騎手。7月にはCBC賞で重賞初騎乗初制覇を果たすなど、女性騎手の枠を超え「乗れる新人」として強烈なインパクトを残しました。
外から見ると順風満帆なデビューイヤーでしたが、本人にとっては「悔しいレースがありすぎます」というくらい、地団駄も踏んできました。それは、「ここで結果を残さないと、次はない」と自身を客観視できているからこそ。また、2月末で調教師に転身する福永祐一騎手からのアドバイスも大きかったと言います。
「後輩には絶対に負けない!」と、闘争心を全面に出す今村騎手の今年にかける思いとは
(取材・構成=大恵陽子)
2月末に引退する先輩・福永祐一騎手の存在
──昨年、一番悔しかったレースを挙げるとすればどれでしょうか?
今村 たくさんありすぎます。信越Sのテンハッピーローズ(2着)は何回見ても「うーん、悔しいな」と思います。騎乗依頼をいただいた時から「素晴らしい馬が回ってきた」と思っていたのと、ローカルだからこそ乗せていただけたので、「勝たないと次も乗せてもらえないかな」というくらいの気持ちでした。
それまでこの馬のレースはよく見ていて、乗り難しい馬だなということと、(福永)祐一さんが丁寧に競馬を教えてくださっていると思っていました。
2週続けて追い切りに乗せていただいたんですけど、最初に坂路で乗った時にはめちゃくちゃ行きっぷりがよくて、芝1400mで折り合いをつけられる自信があまり持てませんでした。翌週も追い切りに乗せていただけると分かっていたので、少ない引き出しの中で考えて、Cコースの長めからの追い切りでは「これならまだマシかな」という感じで乗れてレースに挑みました。
とにかく折り合いだけ気を付けたんですけど、思いのほか道中は上手く運べて、直線は先生と話し合っていた通りに乗れたので「これならいけるかな」と思ったんですけど、前の馬を捕らえられませんでした。リステッドも勝ったことがありませんでしたし、すごく勝ちたかったです。
──勝たないと次もない、と自身でも感じていただけに、悔しさも大きかったんですね。
今村 終わってから祐一さんにレースを見ていただくと、「見た感じは悪くないけど、勝ちに行くんだったらもう1つ前のポジションだったな」と言われました。
私も終わってすぐに「もう1つ前だったら、着順は変わっていなくても接戦になっていたかもしれない。レースももうちょっと変わっていたと思う」と感じました。けど、そこを取りに行けなかったのは、私が折り合いに専念しすぎた部分があったからです。ホントに悔しかったです。
※この他にも、動画ではレース映像とともに鮮やかな逃げ切り勝ちを決めたレースを振り返っています。動画はこちら。
──2023年はどういうことを課題に歩んでいきたいですか?