▲できる厩務員とできない厩務員の違いは?(ユーザー提供:ワラビさん)
先週は約1カ月ぶりにレースに騎乗し、競馬場の気持ちよさ、ファンの声援の温かさを改めて感じたという小牧騎手。さらに、今週はジャッドノワール、小倉4週目にはフチサンメルチャンとワンダーブレットがスタンバイ予定と、楽しみなレースが続きます。さらに今週の『太論』では、先週土曜日に騎乗したニホンピロシーガーの厩務員さんとの“絆”が明らかに!
(取材・文:不破由妃子)
「小牧さん、頑張ってー!」、お客さんの声が力になった
──先週は約1カ月ぶりの競馬でしたね。
小牧 やっぱり競馬場は気持ちがいいね。改めて思ったわ。
──でも、やはりワンダーブレットは除外になってしまいました。
小牧 残念やったけど、服部さんのところのニホンピロ(シーガー)に乗せてもらえたから。なんせね、担当の厩務員さんが、すごく僕のことを応援してくれる人で。
──もしかして、ニホンピロランドを担当されていた方ですか?
小牧 そうそう。いつも僕のことを推してくれてね。「小牧さんを乗せて」って、ずっと言ってくれてるねん。すごくうれしいし、ありがたいなと思ってます。いつも「引退しないでくださいよ」って言われてるわ。
──そういう人がひとりいるだけで、気持ちが違いますよね。
小牧 ホンマにそう。先週は、お客さんの応援も力になったわ。
──声が届きましたか?
小牧 うん。パドックで「小牧さん、頑張ってー!」って声を掛けてくれた人がいてね。久しぶりにお客さんの声を聞いたような気がする。やっぱり、そういう声はうれしいもんやね。
──ではさっそくですが、レースのお話を。ニホンピロシーガーのデビュー戦は12着(1月21日・中京3R・メイクデビュー中京)
小牧 思ったより頑張ったなっていう印象やね。頭が高い走りやから、そのあたりが課題やけど。
──まだ、競馬というか、走り方をわかっていないような印象を受けました。
小牧 そうそう。追い切りでもそういう感じやったから。まぁ、ああいう馬は、一度使ったことで変わってくると思うよ。なんせ子供やからね。
──走り方を教えていく段階ですね。
小牧 そうやね。まずは首を使って走ることを教えていきたい。調教やね、やっぱり。ハワイアンパレス(1月22日・中京2R・3歳未勝利)は、途中まではいい感じでいくんやけどなぁ。その感覚があるから、もうちょっとやれるはずといつも思うんやけど。次は地方交流を使ってみようかっていう話をしてんねん。
──さて今週ですが、ジャッドノワールがそろそろ復帰ですか?
小牧 うん、ジャッドノワールは土曜日やね。レースにいってみないとわからんところもあるけど、調教で終い13秒を切り出した。それはいい傾向やね。しっかりスタートを出して、いい位置で競馬をしたいと思っています。
──あとは、来週以降かと思いますが、フチサンメルチャンが相変わらず猛時計を出してますね。
小牧 メルチャン、むっちゃよくなってるよ。ただ、まだ丸々してるわ。使うのは4週目のダート1000mやから、そこまでにもう少し絞れてくれば、いい競馬ができると思う。なんせメルチャンは僕にとっての稼ぎ頭やから、頑張ってもらわんと(笑)。4週目はワンダーブレットも登録するし、ちょっと楽しみやね。
──では、最後に質問をひとつ。「20代前半の男です。競馬関係の仕事に就きたいと思っていますが、小牧騎手が思う優秀な厩務員とはどんな人ですか? できる人とできない人の一番の違いはなんでしょう?」。
小牧 ん〜、具体的に説明するのは難しいなぁ。今は馬の入れ替えが多いからそうでもないけど、昔は仕事ができる厩務員さんに走る馬が集まっていたから、“走らせるコツ”があるのは間違いないと思う。安田隆行厩舎のロードカナロアとかをやっていた岩本さんとか、松田博資厩舎にいた山口さんとかね。
──逆に、「この人はダメだな」と思う人の特徴は?
小牧 そうやなぁ、いらんことを考えたりとか、怒ったり怖がらせたりして、馬にストレスをかけたりとか。そういう人はアカンね。言い換えれば、できる人はそういうのがない。なんていうのかな…、馬と一体になっている気がする。人馬一体にね。“怒る”より“叱る”感じで、叱るときはしっかり叱って、遊ぶときはしっかり遊ばせるみたいなね。
──メリハリが利いていると。
小牧 そうやね。だいたい、馬は担当者に似るからね。イライラしている人がやると、イライラした馬になる。馬にストレスを与えない人がやると、穏やかな馬になる。言葉ではなかなか説明できんけど、さっきも言ったように、とにかく人馬一体の空気感があるような気がする。ニホンピロシーガーの厩務員さんも優秀やで。馬が穏やかや。ゆっくり歩きながら、人馬一体の時間を過ごしているように見えるよ。
(文中敬称略)